手取りが激減する中、物価はどう推移するのだろうか。矢嶋氏はこう話す。

「デフレでモノが安くなる一方、介護費や教育費などは1990年代以降、上昇を続けています。人口減少社会では、サービスの価格は上昇する傾向にあるのです」

例えば国立大学の学費だ。授業料と入学金の合計は、ここ10年間で10%以上も高くなり、私立との差は縮まっている。教育は人件費の割合が高く、技術進歩などによる効率化が難しい。同じ理由で「介護費用も高くなるだろう」と矢嶋氏は言う。

「これから受験を控える子供や、介護をしなければならない親がいる場合、今の水準より多めに費用を見積もったほうがいいでしょう」

食料品価格も上昇するというのが矢嶋氏の見方だ。食料自給率が4割の日本は、多くの食材を輸入に依存している。

「日本の人口は減っていますが、世界では人口が爆発しています。特に水や穀物は争奪戦の様相を呈していて、長期的に価格が高騰するのは必至です」

これらの負担増は、家計を蝕むことになる。となると、真っ先に削られるのは夫の小遣いだ。妻からさらなるカットを命じられる可能性は高い。交際費、レジャー費も節減の対象となるだろう。今のうちから、お金のかからない趣味を探しておくべきかもしれない。

矢嶋康次
ニッセイ基礎研究所経済調査部門チーフエコノミスト。2012年より現職。上智大学経済学部の非常勤講師も務める。著書に『図解 20年後の日本』(一部執筆)など。
小黒一正
一橋大学経済研究所世代間問題研究機構准教授。大蔵省(現財務省)入省後、財務総合政策研究所主任研究官などを経て2010年より現職。著書に『2020年、日本が破綻する日』など。