【俣野】普段から自分を客観視する習慣がない人は、たぶん1度書いてみないと、いろんなことがこんがらがって整理することができない、ということですか?

【中司】そうですね。自分が考えていること、自分の行動を書き出していくと、日々の課題、問題を冷静に理解できるんです。自分の考えも整理しておかないと、ある意味で“混乱”している状態に近く、今の課題点や問題点が見えていない。そして、行動は書き出して明確にすると変化に気づきやすくはなりますよね。

【俣野】僕も自己PRのセミナーなどを開催しているんですが、まったく同じです。2つのことを同時に満たすと強みが見えるという話をしているんですけど、それは何かといったら、自己問答と客観視なんですよ。要はそれが同時にできるのが、今言った中司さんの、紙に書き出して振り返ることだと思います。自己問答は、自分との対話です。客観評価というのは、外から見てどう捉えられるかということ。どっちかが欠けたとしても、それは意味をなさない。やはり、紙に書き出してみて初めて自分と対話がグンとしやすくなるし、目で見て客観視できるので、一挙両得でできるメソッドなのかなと思いますね。「書き出す」=「吐き出す」「ひねり出す」みたいなイメージだと思うんですけど。頭の中で終わらせると、自分の都合のいいように編集して、現状を可視化することができない。

【中司】皆さん意外に自分の頭を過信しているんです。やるべきこと、改善すべきことは頭の中で考えているだけで大丈夫、と。思考は現実化するといいますけど、書き出してみないとなかなか現実化しないんです。

【俣野】自分を変化させ、成長するためにも、紙にやるべきことや当面の課題を書き出すことで己を知る。書くことによって、1度自分の頭から離れるわけじゃないですか。離れたところで自分を見て客観視する。自分の頭の中だけで完結しているものは、あまり過信しないほうがいいっていうことですよね。

【中司】メールやSNSもいいのですが、紙とペンを用意して、日々の行動などをどんどん書き出して振り返りながら、少しずつでもいいので成長していきたいですね。

俣野成敏(またの・なるとし)
1993年、シチズン時計株式会社に入社。安息の日々もつかの間、社の赤字転落によって30歳でリストラ候補になり、転職、起業の余地がないダメ社員に未来はないと一念発起。役職経験・小売経験・有力人脈を一切欠いたまま、メーカー直販在庫処分店を社内起業。老舗メーカーの古い価値観を逆風に受けながら、30代の内に年商14億企業に育てあげる。その功績が認められ、33歳でグループ130社の現役最年少の役員に昇進し、さらに40歳で本社償還、史上最年少の上級顧問に就任する。この体験を元に執筆した著書『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)はシリーズ累計11万部のベストセラーに。2012 年、独立。複数の事業経営の傍ら、私塾『プロ研』を創設してプロフェッショナルサラリーマンの育成に力を注いでいる。
※俣野成敏オフィシャルサイト http://www.matano.asia/

中司祉岐(なかづか・よしき)
株式会社日報ステーション代表取締役。経営日報の“赤ペン指導”で売り上げを倍増させる日報コンサルタント。クライアントからは、FC、特定ブランドで売り上げ日本一を多数輩出している。高校卒業後、零細飲食店に入社。集客を担当し来店者数10倍、客単価2倍を実現。その後、勤務した大手アパレルチェーンでは、販売員として全国トップテンに入る業績を上げる。その営業・販売の実績を買われ、零細企業の創業、事業立て直し支援事業に従事。そこで中小零細企業こそ少しの工夫で成果が出せると気づき、株式会社ビジフォーム(現・株式会社日報ステーション)を設立。著書に『A4 1枚で「いま、やるべきこと」に気づく なかづか日報』(経済界)、『小さなひらめきが成果に変わる A4マイ日報で「勝ちパターン」仕事術』(幻冬舎ルネッサンス)がある。
※日報ステーション http://nippo-st.com/
(撮影=よねくらりょう)
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