トキワ松学園【東京都・目黒区/女子校】
夏休みの海辺でも探究魂を発揮!
「トキワ松というと、美術デザインコースもあるため理系よりも芸術分野に強いイメージがありますが、古くから『探究女子の育成』を教育の理念として掲げているんですよ」(後藤さん)
その中心となるのが、中1と高1で学ぶ「思考と表現」というオリジナル授業。「論理的に考える力」と「調べる力」を養うほか、一つの美術作品をグループで鑑賞し、そこから読み取ったことをディスカッションして、観察力・思考力・コミュニケーション力を伸ばす。
高2からは自分の興味・関心のある分野について学ぶ「探究」や、企業とタイアップをして、ブレーンストーミングやKJ法などの手法を用いてアイデアを形にする「商品開発」などの学習も。
「こうして育った“探究女子”たちの創造力はなかなかのもの。夏休みに海辺にごみ拾いに行った生徒たちが、そこで感じた疑問や興味をそれぞれに発展させたというのです。海辺で拾ったシーグラスでアクセサリーを作って文化祭で販売した子(売り上げは環境団体に寄付したそう)、衣類ごみを何とかしようと、稲わらを使ったサステナブルな新繊維を開発した子(在学中に起業、その成果を武器に慶應義塾大学へ進学)、海風からエネルギーを得る風力発電が周囲の生物に与える影響を研究した子も。授業じゃないんですよ。探究女子、本当にすごいです」(後藤さん)
海城【東京都・新宿区/男子校】
取材先へのアポ取りも自分たちで
進学校として名高い海城だが、探究型学習の分野でも、以前から独自の取り組みを続けている。「中学社会科の授業に歴史や地理、公民とは別に、総合学習的要素を盛り込んだ『社会I、II、III』という独自科目を導入したのは、なんと30年以上も前の1992年のこと。社会課題を見つけて、文献や資料を調べ、関係団体や個人への取材も行っています」(後藤さん)
アポの取り方から取材後のお礼状の書き方まで指導するというから本格的だ。
中3で卒業論文を書き、発表する。「発表内容は原稿用紙30~50枚にも及びます。論文集としてまとめられますが、そのテーマ選定や完成度は大学の卒論レベル」(後藤さん)
「尊厳死について考える」「死刑問題」など、テーマも多岐にわたるようだ。
社会科だけではない。理科4科の実験室を完備した「サイエンスセンター」も充実。太陽光パネルや風力発電などのエネルギーの仕組みが見えるように設計されていて、生徒の興味・関心に働きかける工夫もなされている。
「海城がすごいのは中学の入試問題に『イギリス料理はなぜまずいと言われるのか』『あなたはなぜいま、入学試験を受けているのか』などのユニークな設問が出ること。入試の段階から、考える力を試しているのです」(後藤さん)





