社会生活の中から自分で“問い”を見いだし、課題を立てて、調査・分析、まとめ・発表を行う「探究型学習」。2022年度から高校の学習指導要領に組み込まれたこともあり、探究型学習を導入する中学、高校が急増している。「従来の知識習得型教育と違って“正解”がないのが探究型学習の大きな特徴です」
こう語るのは、コアネット教育総合研究所の福本雅俊さんだ。
では、本当の探究型学習を実践している学校を選ぶポイントは何か。「一つは、教育活動全体を貫くコンセプトが探究型学習を意識した設定になっていること。もう一つは教職員の資質です。正解のない学びだからこそ、教員にも探究し続ける資質が求められます」(福本さん)
一方、声の教育社の後藤和浩さんは、別の視点を提示する。「探究型学習はいきなりできるものではありません。高校生になって質の高い探究を行うには、中学時代からのトレーニングが必要です。その意味で中高一貫校というのは有利。また、受験勉強の負担が少ない大学附属校は、高校3年まで探究が続けられ、より高い成果が期待できます」
福本、後藤両氏に挙げていただいた「お薦めの探究型学習校」を見ていこう。
三田国際科学学園【東京都・世田谷区/共学】
インスタントコーヒーをドリップしたら?
英語教育や国際交流に力を入れてきた同校は、今年の4月から「三田国際科学学園中学校・高等学校」に名称を変更する。もともと、サイエンス教育にも力を入れてきており、博士号を持つ教師が4人もいる、と福本さんは言う。本格的な実験に必要な3Dプリンターや冷却遠心分離機、安全キャビネットなどハード面の充実はもちろん、ソフト面での柱となるのが「初めに問いありき」を重視した授業だ。
福本さんが訪ねたときには、「インスタントコーヒーをドリップしたらレギュラーコーヒーになるのか」という問いから授業が始まったという。
こうした「問い」に対し、生徒はまずタブレット端末を使って情報を集め自分の考え=仮説を構築。次にグループでディスカッションを行い、グループごとの結論を導き出し、それをクラス全体に向けてプレゼンする。プレゼン資料はデータとしてクラウドサーバーで管理し、教師はそれに対してフィードバックを行う。
「こうした一連のサイクルで学ぶと、新しい“なぜ?”が生まれます。これを繰り返すことで、生徒の探究力を高めていく。事実、こうした学習法を導入して以来、生徒の学力は確実に向上しているそうです。また、『どのような問いが効果的か』などを考えていくなかで、教師のスキルもブラッシュアップされていきます。同校の教師は、問題の解を教える教育者ではなく、子供が考えるのをサポートする伴走者と位置づけられています。まず、『君はどう考える?』からスタートするので、見学していても本当にワクワクします」(福本さん)
もう一つの柱は、教科横断型の授業だ。社会科で「蒸気機関の発明」という歴史を学び、理科で「どう動くのかそのメカニズムを実験する」という授業や、社会科と美術、英語を掛け合わせて「浮世絵を作って、留学先のホストファミリーに紹介する」という授業も過去にあったという。
「私も学びたくなる授業がもりだくさんです」(福本さん)
日時:6月27日(金)19:00~21:00
参加費:無料
※スマホでもパソコンでも視聴可。
※アーカイブ配信あり。当日ご都合が悪くても後からご視聴いただけます。
配信方法:Zoom ウェビナー
1部:「合格家庭に見る成績上昇の秘訣」
2部:「来年以降の入試はこう変わる! 注目校&10大ニュース」
3部:「広尾学園の教頭が考える『この夏、やっておいてほしいこと』」
登壇者:VAMOS富永雄輔さん、声の教育社後藤和浩さん、広尾学園植松久恵さん






