ハーバード生に学ぶ家庭でできること
日本の子供たちみんながハーバード生を家庭教師にするのは難しいが、家庭でまねできることはたくさんあると真理さんは言う。
「これからの不安定な時代を生きていくには、まずハーバード生のように“好きを得意にする”ことでしょうね。その好きは、必ず子供時代にあります。それを発見できるのは、親と本人しかいない。それも、なるべく早期発見することが大切です。自分の興味は、100年やそこらの人生でそう変わることはありませんから、得意にするまで突き詰めるには早いにこしたことはないのです。すみれさんは3歳でバイオリンに出合いました。親が無理にやらせなくても、本当に好きなら自分から練習します。すみれさんは本当にバイオリンが大好きで、38℃の熱があっても、バイオリンの練習だけは休まなかったくらい」
大分市の公立小中高から塾なしでハーバード大学に現役合格。同校とジュリアード音楽院修士課程をそれぞれ卒業、修了し、現在はバイオリニストとして世界各地で演奏活動を続けながら、情報番組のコメンテーターや大学の准教授として幅広く活動中。
そして、子供の好きを見つけて伸ばすためには、親が家庭を安全基地にし、温かく子供を包容する存在であることが大切だという。
「どんなに好きなことだって、失敗したりなかなか上達しなかったり、時には飽きてしまうことだってあります。そんなときにも、親は温かく見守ってやる。それが包容力であり、子供にとっての安全基地になります。また、親が常識や思い込みにとらわれないことも大事ですね。今はSNSなどで、よその家でやっていることや世間が見えてしまって大変な時代ですが、親が周りと比べるのは、本当によくありません。『ほかの子はできているのに、なぜあなたはできないの?』なんて、決して言ってはいけません。
また子供は、親のお金と時間の使い方を見て育つので、何を大切にしているのかの優先順位も大事にしてほしいですね。みんながやっているからといって、塾や習い事、中学受験などにお金と時間を使うのではなく、なぜそれをやるのか、一度考えてみるのがいいかもしれません。すみれさんは、英語は自宅学習で、小中高と公立でしたし塾にも行っていません。その分の時間を、バイオリンに充てていました」
ハーバード生を招いたプログラムを主宰しているにもかかわらず、「英語」さえも、周りに流されてやらせる必要はないと、真理さんは言う。
「英語は生きるうえでの単なるツールです。英検1級を持っているから、留学をしたからといって、いい職業に就けたり、いい人生を送れたりするわけではありません。子供が輝くのは、英語ではなく、好きを得意にしたときです。そのうえで英語ができれば、より選択肢が増える。ですから英語は、オンラインなどで効率よく勉強して、残りの時間を好きなことに充てることをおすすめします」
とはいえ、単に好きを得意にしただけでは成功者にはなれない、と真理さんは念を押す。
「その子が人生の中で、どれだけ信頼性と好感度を得られるか、これに尽きますね。論拠があるからといわれても、尊敬できない人の話は聞きたくない。ですから親も信頼性と好感度のある人になるしかありません。私も一生の課題です。子供はある程度まで親をロールモデルとして育ちますが、だんだんと友達や先生など他人の影響が大きくなります。そして子供が最終的に、自分で信頼性と好感度を得て、親よりも大きい世界にはばたいていくことが、成功するという意味でしょうね」
優秀なハーバード生と共に活動することは、主宰する真理さん自身の人間の幅も広げているという。
「ハーバード生は、私より間違いなく賢い人たちです。このプログラムの理事の一人である村上憲郎さん(元Google 米国本社副社長兼Google Japan 代表取締役社長)は『Googleが成功しているのは社員が自分よりも賢い人を採用するからだ』とおっしゃっていました。まさに私も、自分より賢いハーバード生を雇うことで、私のやりたいことを実現させています。これは実感していますね」
親も、優秀な人と積極的に交流して、子供に背中を見せることも大切なようだ。




