犯罪者の背景に弱者の苦しみのようなものが見えた

【サヘル】黒川さんにお聞きしたかったんですが、言葉を書くことになったきっかけはなんだったんですか。

【黒川】私は最初、タイルの業界誌の記者をしていたんです。その後、印刷の業界誌、地元のタウン誌の記者と移っていき、タウン誌が廃刊になるあたりからフリーの仕事が入るようになり、フリーライターになりました。タイルや印刷だけでなく、「普通の人々」の生きづらさも書きたいなと思っていたら、フリーになってからの仕事は、いきなり犯罪事件から入ることになりました。いちばん最初に書いたのは、タイ人の女の子が人身売買のような形で日本に連れてこられて、スナックのママを殺す事件が3件続いたというものでした。そのうちの1件の女の子について、取材しました。裁判を傍聴に行って、東京拘置所に面会にも行きました。