空振りに終わることだってある
そのため、先行投資や借金をしても、それが空振りに終わることはありません。本人が毎日ちゃんと働きさえすれば、間違いなく投資は回収され、借入金は返済できます。そして1年後には、計画どおりの自己資本が貯まっているわけです。
世の中に、これほど恵まれた環境で事業を始められる会社が一体どれだけあるでしょうか?
ほとんどの会社は、自分たちの提供する商品やサービスにどれだけお客さんがつくかわからない状態で事業を始めます。どんなに立地条件に恵まれた飲食店でも、お客さんが入るかどうかは開店するまで予測できません。ひとりも来ないかもしれないのです。
しばらく続けているうちに常連さんが増えれば、お客さんを安定的に確保できたように思えるかもしれません。しかしそれも、わが子にお小遣いをあげる親御さんほど「確実なお客さん」ではないでしょう。何かの拍子に悪評でも広まれば、常連さんたちが揃って顔を見せなくなることだってあります。
実は「お小遣い」も同じこと
大企業の下請けも、「こういう部品をつくってくれ」と依頼される点では子どもの皿洗いや肩もみと似ていますが、発注の量は時々の諸状況によって変化するので不安定です。いつまでも同じ部品の発注が続くわけでもありません。
そもそも、ここまでは親子関係をかなり理想化してお話ししてきたものの、子どもの皿洗い代や肩もみ代が本当に親御さんから支払われるかどうかも、じつは不透明です。
「そんな約束したっけ?」などとトボけるお父さんがいないともかぎりません。たとえ「お小遣いをあげ続けたい」という気持ちがあっても、病気や失業などで家計が逼迫し、それどころではなくなることだってあり得ます。
そう考えると、子どもがお小遣いを貯金するために借入をするのは、やはりそれなりのリスクがあるでしょう。誰よりも確実な親という「お客さん」がいても、そうなのです。それとは比較にならないほど厳しい環境に飛び込んでいく起業家は、借入についてよほど慎重に考えなければいけません。


