焦るほど成績が落ち、気持ちが追い込まれていく
さらに追い打ちをかけるように、その後の授業も難しい問題の演習が続いていく。それに加えて6月末〜7月初めにかけて、各塾では今後の志望校選びに直結する重要な模試が控えている。塾の先生や親からはこの模試の重要性を散々聞かされているので、頑張らなきゃいけないことは頭では分かっている。しかし、現実は目の前の問題が解けない。その後に授業で解説を聞いてもさっぱり分からない。分からないのに、宿題は大量に出る、といったとてもつらい状況になっているのだ。
そして、ますます気持ちは焦り、塾や親から言われるがまま上辺だけのアタフタ勉強に走ってしまう。十分な理解を得ないまま、大量学習をしても、当然のことながら成果は出ない。それどころか、成績をどんどん落としていくことになる。本人なりには頑張っているのに、結果につながらない。こうして、だんだんと気持ちが追い込まれていき、体調不良、倦怠感、鬱といった五月病のような症状が現れるようになるのだ。
4、5年生では「暗記で乗り越えてきた子たち」の成績が急降下
4、5年生の場合も、この時期に大きく自信を崩しやすい。受験勉強がスタートする3年生の2月からGW前までは、どの塾もそこまで難しいことはやらないので、成績が大きく落ちることは少ない。
例えばSAPIXでは4年生のGW前に、算数では公約数・公倍数を学習する。この時期の内容は計算処理を中心としたものに限定されているので解けてしまうが、GW以後の授業では、倍数判定法やペン図を利用したものなど複雑になってくる。こうした場合、数の並びの感覚を持っているか否かが非常に重要になる。きちんと納得しながら理解してきた子は、この壁を乗り越えていけるが、単に暗記や公式に当てはめるだけのやり方でやって来た子は、まずこの壁でうろたえることになる。
同じように5年生も、これまでの勉強のやり方によって、伸びていく子と落ちていく子に二分化される。中学受験の勉強は5年生が一番大事とよく言われるが、なかでも重要になってくるのが、5年生の夏休みに学習する算数の比の問題だ。入試に比の問題が出ない学校はないと断言してもいいくらい、非常に重要な単元である。5年生の1学期では比はまだ学習しないが、その前段階として速さの単元で「旅人算」や「通過算」などを学習する。それだけではない。5年生は毎回の授業で、新しい単元の解き方を次々と学ぶ。そのスピードと量は相当なものだ。


