2LDKの間取りで夫が1部屋を在宅勤務部屋にしており、残りの1部屋とリビングに子どもとどう暮らせばよいのか。一級建築士のしかまのりこさんは「住宅価格の高騰で子どものスペースと自分のスペースがなく夫婦仲がこじれているという相談が増えている。狭くても工夫次第で各自のスペースを確保する方法はある」という――。
生活感のあるリビングルーム
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「どうして私には個室がないの?」妻の叫びから始まった相談

「高校生の長女には個室が必要だから」と、2LDKのうち一室は長女へ。もう一室は夫が“在宅ワーク用”として使用。残されたリビングに、妻と小学生の次女が雑魚寝同然で暮らす日々――。そんなご相談を受けました。

東京都心に暮らすAさん一家。住まいは築20年のマンション、専有面積62平米。今や夫婦+子ども2人の4人家族にとっては、少々手狭です。「一人になれる空間がまったくない」「育児も家事も在宅ワークもリビングで全部こなす私のほうが過酷じゃない?」ふとした家族の会話から、妻の思いが爆発しました。

小学4年生の次女にも“セミ個室”を確保したい

この家庭では、高校生の長女に個室を優先的に割り当てています。「なぜ長女だけが?」と感じる方もいるかもしれません。ですが、これは決して“優遇”ではありません。長女は現在高校2年生。思春期の真っ只中で、受験も間近に迫っています。集中できる学習環境や、心を落ち着ける空間が必要なのは明らかでした。

さらに妻からは、小学4年生の次女についても「そろそろ中学受験に備えて、自習室のような空間を作ってあげたい」という希望が出ていました。リビングでも可能な限り集中できるよう、せめて“セミ個室”的な環境を確保したいとのことでした。