ネット検索だけでは“上辺”しかわからない
一方で、「その場で検索すればいいじゃん」と思う方もいるでしょう。実際に中高生と話していてもすぐスマホで調べようとする生徒たちは多いです。しかし、ネットに溢れる情報のすべてが正しいとは限らず、SNSの怪しい知識をうのみにしている生徒も割と多く見られます。
誰でも簡単に調べられるのと同じくらい、誰でも簡単に発信できる時代ですから、真偽不明の情報や偏った見解、悪意のあるフェイクニュースがインターネットには数多く存在します。少数派の意見が、さも主流な意見であるかのように語られ、何がそのニュースにおいて重要なのかがわかりにくいことも多々あります。
それに、「ただ検索しただけ」では、表面的な情報しか得られません。例えば「円安とは何?」「1ドル何円?」といった情報は、スマホで簡単に調べることができます。一方で、「なぜ今、円安が進んでいるのか?」「このまま円安が続くとどうなるのか?」といった背景や今後の展望までは、検索結果をちょっと眺めたくらいではなかなか理解しにくいものです。
だからこそ、周りの大人たち側から問いかけ、ニュースの背景や因果関係、社会の仕組みについてちゃんと親子で一緒に考えてみるという姿勢は、今後何よりも重要になってくるとも考えています。
スーパーの買い物も「学びの場」になる
この「なぜ?」を考える機会は、前述の東大生のエピソードのように日常生活の至るところに転がっています。先ほどとは別の東大生の例を挙げましょう。彼は中学生のころ、コロナ禍の時期に母親と近所のスーパーに行って、あることに気がついたそうです。
「いつもの食パン、もしかして値上げした?」
どうやら、以前は190円台で買えたはずの食パンに、200円以上の値がつけられていたようです。ほんの小さな気づきですが、彼の母親はこれを「気のせいじゃない?」などとスルーするのではなく、「ほんとだね。なんで食パンが値上げしてるのかな?」と問いを投げかけてきたそうです。
当時は、マスクやアルコール消毒液が品切れでした。悪質な転売が横行し、値段が上がっていることは中学生の彼にもわかっていました。ですが、なぜ食パンの値段まで上がっているのか?
「原料が値上がりしてるから?」
「パンの原料っていうと、小麦粉とバターだね」
「小麦粉ってほとんど輸入品だけど、今は輸入って難しいのかな……」
とか、
「食パン食べたい人が増えてるのかな?」
「外食できないぶん、おうちで食べる機会が増えてるのかもね」
と、会話をしながら、買い物ついでにいろいろな角度から質問されたそうです。そして、実際に小麦粉が値上がりしているのか見てみようと小麦粉が置いてあるコーナーに行ってみると、小麦粉やホットケーキミックスの棚が売り切れで空っぽになっていてとても驚いたそうです。



