「親の期待に応える」と「自分の人生を生きる」は別

私のカウンセリングルームには、親のダブルバインドによって自由に進路選択ができずにいる中高生や大学生も多く訪れます。将来に不安を感じている子が多いので、自己肯定感を上げることやセルフコンパッション(自分自身を大切に思える)を育むことを中心にカウンセリングを行います。そして、自分の人生は自分で決めていいと思えるようにさまざまなワークに取り組んでいきます。

「親の期待」と「自分の本音」が混ざり合っている子も少なくありません。そういう子には「親の期待に応えること」と「自分の人生を生きること」は、別の話だと気づけるように次のようなワークを行います。

【親の期待と自分の本音を分離させるワークのやり方】

(1)紙を2列に分けて
・左側の列に「親が望んでいる進路」
・右側の列に「自分が望む進路」
を書く

(2)「親が望んでいる進路」を見ながら、自分に問いかける
・「親のために選ぶと、どんな気持ちになる?」
・「10年後の自分を想像してみて、どんな仕事をしているとワクワクする?」
・「親がまったく口を出さなかったら、どんな道を選びたい?」

また、親の影響が強い子はせっかく自分の望む進路を決めても「反対されたらどうしよう」と不安を感じやすく、親に伝えるハードルが高いです。カウンセリングでは「しっかり考えた上での決断であることを強調すると、親も受け入れやすい」とアドバイスして、伝え方の練習をすることもあります。

Aさんは今でも娘さんに自分の考えを押しつけてしまいそうになるものの、以前に比べると立ち止まって考えられるようになったそうです。その後、時間はかかりましたが、娘さんは自分で決めた大学に通っています。

親は子どもが成長するにつれ、多くのことを望んでしまいがちです。でも根本の願いは「子どもが笑顔でいられること」なのではないでしょうか。まずは子どもに自分の感情、価値観を押し付けていないか? 自分が子どもの立場だと想像して、何と言われたら安心して進めるのか? 一度立ち止まってみてほしいと思います。そのためにはまず親自身が自分の気持ちを整えることも大切です。