親の価値観がにじみ出てしまっている
決して否定するつもりはなくても、「そっちよりもこっちのほうがいい」という親の価値観がにじみ出ることで、子どもは「本当はこっちを選んでほしいんだな」と受け取ってしまうこともあります。例えば「○○のような企業だと安定しているから安心よね」という言い方も、その一例です。
「自由に決めていい」と言いながらも、実際には親の意向を伝えてしまっている……そんな場面は意外に多くのご家庭で見られるのではないでしょうか。
心理学では実際に伝えたメッセージと、その裏に隠されたメッセージとの間に矛盾が含まれている状態を「ダブルバインド」といいます。子どもはダブルバインドに気づき、親の本音を考え過ぎて自分の気持ちを言えなくなってしまいます。
「ダブルバインド」は気づかれている
親に「自分で決めていいよ」と言われたから自分で決めようとしたのに、結局、否定されたり、過剰に心配されたりする経験を重ねるうちに、子どもは親の意見に従ったほうが安心という思考になってしまいます。そうやって自分で決められないまま大人になった人もいます。これは極端な例ですが「結局、自分が使うコップさえ選ばせてもらえなかったから、今でも自分の好きがわからない……」と言っているクライアントもいました。
Aさんの娘さんも以前から母親のダブルバインドに気づいていて、自分で選択ができなくなってしまったのでしょう。親子の信頼関係が築けていない場合、「自分で決めていい」という言葉は子どもを苦しめる言葉にもなるのです。
ダブルバインドをしてしまう親の心理もさまざまです。例えばAさんのように子どもの選択を信じきれないのは、わが子を失敗させたくない「過保護タイプ」。他にも自分の価値観や考えが正しく、それに従うべきだと思い込んでいる「支配欲タイプ」、子どもの幸せよりも親の見栄を優先してしまう「社会的評価重視タイプ」、子どもに頼られることで親としての存在意義を守りたい「依存タイプ」などに分けられます。


