メディアの偏った報道でモンスターペアレンツが増えている

「学校へのクレーム対応窓口を新設!」。2024年4月、モンスターペアレンツ対応に悩まされていた奈良県天理市が、専用窓口をつくった、というニュースが話題になりました。

一般の企業では、『お客様センター』や『カスタマー窓口』を設けているところは、珍しくありません。現場でいちいち対応していたら、仕事が回らなくなってしまうからです。ついに学校までも専用窓口でクレームを受け付ける時代になってきているのです。

モンスターペアレンツ、クレーマー増加の背景には、メディアの報道も関わっている、と私は思います。

たとえば、男の先生が援助交際をしていました、女の先生が風俗店に勤めていました……みたいな話は、ものすごいゴシップになります。最近も、下半身を露出して公然わいせつ罪で捕まった校長がいました。

それらの事件は、たしかに事実です。しかし、捕まったのが校長じゃなくて、どこかの家電量販店の55歳の部長だった場合、そこまで大きなニュースになるでしょうか? でも校長が……となると、教師=聖職者というイメージのせいで、センセーショナルなゴシップとして報道されるわけです。

もちろんメディアは嘘を報道しているわけではないでしょう。しかし、なにか学校がらみの事件があった場合、学校を批判する被害者やコメンテーターの意見ばかりが報じられがちです。そして学校側の説明は切り取られ、まるでただただ『言い訳』しているような見方をされることが、あまりにも多くないでしょうか?

こういう報道は事実だとしても、人々の印象を形成するのには十分な影響力を持っています。

心理学で『リスク認知バイアス』という心理作用があります。

たとえば、飛行機が墜落したというニュースがあると、多くの人は飛行機=危険と思い込んでしまうという心の働きのことです。

でもよく考えてください。事故があろうがなかろうが、飛行機の危険度は変わりませんよね?

そもそも飛行機事故で死ぬ確率は0.01%以下、つまり1万回に1回以下とされます。それなのに、急に怖くなって慌ててフライト予約をキャンセルしてしまったりするのです。

教員についてのゴシップ報道は、これと同じです。

まるで先生みんなが悪いことをしているんじゃないか? 先生ってヤバい人ばかりなんじゃないか? と思い込ませる効果があると思います。

冷静に考えてみれば、実際には、普通のサラリーマンがわいせつ事件を起こす確率と、教員がわいせつ事件を起こす確率なんて、だいたい同じぐらいでしょう。でも教員の事件の方が圧倒的に大きく報道されがちで、リスクが高いように感じられてしまうのです。