学校は保護者を追い返せない

教員が保護者から理不尽に怒鳴られ続けるというのは、実はけっこうあります。

別の生徒の件で保護者ともめてしまったときも、教頭と学年主任が家まで謝りに行って、「夜中の0時まで怒鳴り続けられた……」と言っていました。

そんな長時間怒鳴って、よくノドが潰れないですよね(笑)。

保護者にそこまで一方的に怒りをぶつけられても、先生方は基本的に黙っていることしかできません。

実は学校の教員というのは、とても弱い立場なのです。

たとえば保護者が、学校ではなく学習塾に怒鳴り込んできたらどうでしょう? たぶん1時間もしないうちに「じゃあもういいです、うちの塾に来てくれなくていいから帰ってください」と言ってお引き取りいただくことでしょう。もし居座るようなら警察を呼ぶだけです。

同じ子ども相手、保護者相手の仕事でも、塾はお客を選べます。銀行や市役所もそうですよね。お客さんが怒鳴り込んできて暴れたら、すぐに通報です。

でも、学校は保護者である限りどんなに怒鳴っていても追い返すことはできませんし、居座られても警察を呼ぶこともできません。クレーム対応窓口はなく、顧問弁護士もいません。

腰を低くして穏便に済ませるしかない

また学校ではなく、教育委員会に苦情を入れられるケースもあります。この場合、教頭や校長が委員会への説明・対応に奔走することになります。ただし、教育委員会の指導主事というのはみんな『先生』です。どこかの学校で一緒に働いていた仲間なのです。教育委員会=教師を管理している影の組織のようなイメージを持っている人もいるかもしれませんが、全然そうではないんですね(笑)。

生徒の中にも時々「教育委員会に言ってやろ~!」と教師を煽ってくる子がいますが、「どうぞ言ってください」という話です。ただ、学校に非があろうがなかろうが、教育委員会から電話がかかってきて「クレームが入っているんですが、事実関係を確認して報告してください」と言われれば、校長も教頭もいい気はしないですよね。

だから学校では、トラブルやクレームに関して、腰を低くしてどうにか穏便に済ませるという手段を第一にせざるを得ないのが現状なんです。

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