進路は本人の望むままに、自分の「好き」を追求してほしい

私は娘の成績表を細かく確認したり、勉強しなさいと言ったりしないようにしています。成績が落ちていたとしても、それは子ども自身が一番わかっていること。アメリカでは早くから精神的に自立することが求められますし、横一列の並びではない多様な選択肢が示されるので、子どもは「好き」を見つけることにたけているように感じます。

高校生ともなれば進路についても自分で考えて決めていきます。長女はアートが好き、次女は文学が好き。自分の「好き」を活かすべくあれこれチャレンジしています。

私がアドバイスするのは、彼女たちが迷っているとき。何か新しいことをするのには勇気がいるけれど、失敗してもいいから、「当たって砕けろ」の精神で、どんどんいろんなことを見て、聞いて、感じて一歩踏み出せるようにと、背中を押しています。

久保純子さん
撮影=干川修

高校のときに3年間アメリカに留学、ストレスで10kg増

というのは、私自身、高校時代に「心臓に毛が生えた」という体験をしたんです。アメリカに留学し、ニューヨーク州の高校を卒業しました。その3年間、学校生活は刺激的で楽しかったけれど、文化や価値観の違いもあってうまくホストファミリーとコミュニケーションが取れなかったり、食環境の違いもあったり、ストレスで体重が10kg増えてしまいました。若白髪にもなって……。当時はインターネットもメールもなく、家族に連絡しにくかったので、すごく孤独でした。でも、それを乗り越えたことで、ちょっとやそっとのことではくじけない力がついたと思います。

アナウンサーだった私の母は日本で英語教室を立ち上げ、私が子どもの頃からパワフルに仕事をしていました。自然と私も教育に携わる仕事をしたいと思うように。アナウンサーとしてNHKに入ったのも、日本版の「セサミストリート」のような番組を作りたかったからでした。

それで40歳のときに決心し、一から学んでアメリカでモンテッソーリメソッドの幼稚園教諭の国際資格を取りました。当時、次女はまだ4歳で、夫も仕事のため日本に帰国したので、まさにワンオペ状態で子育てをしながらの受験勉強でしたね。