※本稿は、村川哲也『子どもの一生を決める花粉症対策』(小学館クリエイティブ)の一部を再編集したものです。
花粉症は「治せる病気」になってきた
従来、アレルギーとは体質であり、一度アレルギーになったら一生つき合っていかないといけないものだと思われてきました。
ところが最近は医療の発達により、花粉症は「治せる病気」になってきました。もちろん自然に治るものではないのですが、専門家の指導のもときちんと治療をすれば、治すことが可能です。
特にスギ花粉やダニによるアレルギー性鼻炎については、根本から体質を改善することで、根治が期待できます。そのままにせず、子どものうちに体質改善の治療を始めておくと、その分治りも早くなります。
小学生で鼻づまりやくしゃみ、鼻水が出ると昼間の生活にも支障が出ますし、学習にも影響が出ます。
花粉症は放っておくとどんどん重症化するので、少しでも日常生活に支障がある子どもには、すぐに始めることをオススメします。
また女の子の場合は、将来的に妊娠や授乳のときに薬の服用や治療が制限されることもあるので、早めに体質改善をしておいた方がいいでしょう。
舌の下に治療薬を入れる「舌下免疫療法」
本書を読む前、読者の中には「舌下免疫療法」というワードを聞いたことがなかった人もいたかもしれません。舌下免疫療法とは読んで字のごとく、舌の下を使って治療をおこないます。
では、どんな治療法なのでしょうか。端的にいえば、自分の免疫機能が花粉に過剰反応しないようにするための治療です。使うのは、アレルギーの原因となるアレルゲンを少量含んだ錠剤で、スギ花粉用とダニ用の二種類があります。スギ花粉用を服用すれば、ヒノキ花粉症にもある程度効果が期待できます。
なぜ、アレルギーの原因となるスギ花粉やダニといったアレルゲンを含んだ錠剤を使うのかというと、毎日少しずつ、アレルゲンに体を慣らしていくためです。
そもそも花粉症やアレルギー性鼻炎の場合、スギ花粉やダニといったアレルゲンに過剰に反応して発症します。このアレルゲンを少量ずつ体に入れていき、徐々に慣らすことで、過剰なアレルギー反応を起こりづらくする治療法を「アレルゲン免疫療法」といいますが、舌下免疫療法はそのうちの一つです。
じつは、このアレルゲン免疫療法は100年以上前からおこなわれていましたが、それは治療薬を皮下に注射する「皮下免疫療法」でした。これは病院でないと受けることができませんし、注射が嫌いな子どもたちにとっては難しい治療法でした。
ところが近年、舌の下に治療薬を入れて治療する「舌下免疫療法」が登場したことで、自宅でも治療ができるようになり、患者さんの負担もずいぶん軽くなったのです。