風呂場でのウトウトは居眠りではなく「気絶」
自律神経とは、脳に血液を送りこむために働く交感神経と、胃腸に血液を送りこむために働く副交感神経の総称です。簡単に言うと、交感神経は活動に、副交感神経は休眠に関する反射を担っています。一日の間に、この交感神経と副交感神経が入れ替わるように働くことで、日常生活における身体への過剰な負荷に抑制をかけ、私たちは円滑に生命を維持することができています。
ところが65歳あたりを境として、この交感神経と副交感神経の入れ替わりが遅延してしまうのです。
入浴中にウトウトしてしまうことがありますよね。実のところ、あれは居眠りではなく「気絶」です。お湯の温熱作用によって血管が拡張し、血圧が低下し、脳への血流が低下したことで意識を失った状態なのです。医学的にこの状態を「一過性脳虚血」と呼んでいます。
それでも若い人は自律神経の反射が俊敏なので、すぐに交感神経が反応して脳血流が復活し、「おっと、寝ちゃった」と目が覚めるため、大事には至りません。
ところが、自律神経反射が遅延している65歳以上は、すぐに交感神経が反応せず、意識を回復することなく浴槽内に沈んでしまうのです。
「熱すぎるお風呂」が危険な理由
さらに感覚機能の低下も、入浴中の死亡に関与していると考えています。
温泉施設や銭湯で、ものすごく熱いお湯に平然と浸かっている高齢者がいますよね。あれは慣れや根性の問題ではなく、熱さに対しての感覚が鈍くなっているのです。
ただ、熱さへの自覚が乏しいというだけで、体内はしっかり熱さを認知しています。そのため、高温によって血管が一気に拡張し、気絶してしまうのです。
実際、入浴中に死亡した65歳以上の人の大半が、設定温度を高くしていたと報告されています。
△このような危険を避けるには……
・入浴前に食事や飲酒をしない。
・脱衣所や浴室をあらかじめ暖かくしておく。
・設定温度を高くしすぎず、入浴中は家族にこまめに声をかけてもらう。


