被害を言い出せなかったり加害者をかばったりする理由

そのとおりですよね。私たちは、プレゼントをもらったらそのお返しをしようと思いますし、相手から何かをしてもらったらそれにむくいようとするものです。

櫻井鼓『「だれにも言っちゃだめだよ」に従ってしまう子どもたち』(WAVE出版) 
櫻井鼓『「だれにも言っちゃだめだよ」に従ってしまう子どもたち』(WAVE出版)

それらの感情は自然と起こるもので、そういった気持ちによって人間関係が円滑に進む要素があると思います。

でもそれが、性的グルーミングでも生じるところが問題なのです。自分だけ特別あつかいをされた、何かしてもらった、という思いから、性的な行為をされていやだと思ってもそれを言い出せない、ということがあるのです。

そもそも、本当は被害にあっているのに、「悪いことだ」と相手を非難する気持ちが生まれにくい、被害に気づきにくい、ということもあります。よくしてくれた相手が、まさか「犯罪行為」をしているとは思いにくいですよね。

ですから、被害をうったえることができなかったり、たとえ性被害として明るみに出たとしても、「あの人は悪くない」「自分に良いことをしてくれた人だから」など、加害者をかばう言動が見られたりするのです。

でも、恩恵を与えているのだから、性的行為に応じるべきだとするのは、どう考えたっておかしなことです。よくしてもらったからといって、それが性的行為に応じなければならない理由にはとうていなり得ません。

手なずけに気づくヒント

社会的立場の影響力を利用して性的な行為をさせるのは、明らかに犯罪です。何かしてあげたことをもって、性的行為に応じさせることも、あってはなりません。そういった誘いは断っていいし、断ったことに罪悪感を持つ必要もまったくないのです。