親がポジティブ信仰に陥ってはいけない

「自己肯定感が高い子どもに育ってほしい」と思うとどうしても、ポジティブ信仰に陥ってしまいがちです。

「ものごとはすべてポジティブに考えなくちゃダメ」
「嫌なことがあっても、すぐに前向きにとらえ直せる子にしなくちゃ」

こんなふうに親御さん自身がポジティブ信仰でがんじがらめになってしまうと、お子さんも苦しくなってしまいます。

なぜなら、ネガティブになることが許されないからです。

どんな人でも落ち込むことってありますよね。大人でもそうなのですから、子どもならなおさらです。

ものごとをポジティブにとらえることはとてもすばらしいことですが、それだけになってしまうと、親子関係にもひずみができてしまいます。

そもそも人間の思考は、ネガティブが優位になっています。

なぜなら、進化の過程で恐怖や不安が優先されなければ、命を奪われる危険があったからです。太古の昔、生きるか死ぬかの狩猟時代、いつ襲われるか、食料を奪われるかわかりません。つねに緊張と不安のなかで生きていたのです。

ネガティブもひっくるめて、あなた自身

アメリカで行われた心理学の研究によると、わたしたちは1日に6万回の思考を行っているそうです。その6万回の思考のうち約80パーセントの4万5000回は、身を守るためのネガティブな思考になることもわかっています。1日24時間、8時間の睡眠をとっているとして、3秒に2回は身を守るためにネガティブな考えがよぎっていることになります。つまり、放っておけば人間はネガティブなことを考えてしまう生きものなのです。

書影
中島輝『何があっても「大丈夫。」と思える子に育つ 子どもの自己肯定感の教科書』(SBクリエイティブ)

そのこと自体は問題ではありません。ネガティブな思考は、失敗や危険から遠ざけ、身を守るために必要なことだからです。

自己肯定感は、ネガティブを否定するものではありません。ネガティブもひっくるめて、あなた自身だからです。

自己肯定感をわかりやすくいえば、

「わたしはわたしのままでOK」
「わたしはわたしのままで幸せになる価値がある」

と信じられる気もちのことです。

ダメな部分があってもいいし、欠点があってもいい。自信マンマンじゃなくたっていい。いつもポジティブになれなくたっていいのです。

どんな自分も丸ごと受け入れて、「これが自分なんだ」と認めて、自分自身にOKを出して生きよう、幸せになろう、とする源の感情こそが、自己肯定感なのです。