東名阪が1時間強で結ばれ大都市圏に
品川エリアの大変身のキッカケになるのが、2030年代に予想される2つの交通機関の品川駅の開業だ。
第一が、リニア中央新幹線。東京、名古屋、大阪を最速600kmを超えるスピードで結び、わが国を代表する首都圏、中京圏、関西圏の三つの都市圏がひとつの一大都市圏として機能するようになる。
開業すれば、東京から名古屋までが40分、大阪までが67分で結ばれる。東京圏でいえば、東京駅から大船駅までがおよそ40分、横須賀駅が70分ほどだから、大阪も十分に通勤圏に入ってくる。
この3大都市圏の人口は6000万人を超え、GDPは320兆円超に達する。先進国でいえば、フランス一国に匹敵する巨大な経済圏が誕生することになるわけだ。品川駅はその始発駅だから、東海道新幹線の品川駅開業とは比べ物にならないインパクトになるはずだ。
もっとも、リニア中央新幹線は当初2027年の開業を目指して工事がスタートしたものの、当時の静岡県の県知事の反対によって工事が頓挫し、開業はかなり遅れそうな見込み。それでも、県知事が交代し、2024年7月、当時の岸田首相が「大都市圏を結ぶ新たな交通網の早期構築は重要、早ければ2037年の全面開業を想定し、必要な支援を行っていく」と発言、早期開業への機運が高まっている。大阪までが2037年とすれば、名古屋までは2030年代の前半、遅くとも半ばには開業を期待できるのではないだろうか。
東京メトロ南北線の延伸で六本木、赤坂へのアクセスが改善
いまひとつが、東京メトロ南北線の品川駅への延伸計画だ。
意外かもしれないが、品川駅にはJR山手線をはじめとする在来線の各線、東海道新幹線、京急本線が乗り入れているが、地下鉄の乗り入れはない。京急本線には都営地下鉄浅草線が相互乗り入れしているものの、純粋な地下鉄は通っていないのだ。浅草線も山手線の外側を走っていて、品川駅から六本木、赤坂など山手線内側の都心部へのアクセスはあまりよくない。品川駅から新橋駅や目黒駅などに出て、地下鉄に乗り換える必要がある。都心部につながる地下鉄がない点が、どちらかといえばマイナーなイメージにつながっていた一因かもしれない。
それが、東京メトロ南北線を延伸、白金高輪駅で分岐して品川駅に直結するようになる。すでに東京都の認可が下り、2024年11月から工事が始まっていて、2030年代の半ばの開業を目指している。
現状では品川駅から六本木一丁目駅までは、目黒駅で南北線に乗り換えて20分ほどかかるのが、南北線が品川駅に乗り入れれば、品川駅から六本木一丁目駅まで直結、10分弱に短縮される。乗換えが必要なくなる分、実際の時間は20分、30分と短くなって、精神的な負担も軽減されるのではないだろうか。同時に山手線の混雑緩和にも貢献するはずだ。
品川駅はリニア中央新幹線の始発駅になり、周辺での再開発に拍車がかかり、国際競争力の強化が進む。さらに東京メトロ南北線の延伸で都心部へのアクセス、利便性が向上し、エリアへの企業立地、商業・サービス業の店舗が増加し、タワーマンションなどによって居住者が増えることが期待される。まさに、「次代の東京の玄関口」へ進化するわけだ。