内向型でも人脈を広げることができた理由

転機は40代半ばにありました。とあるワインの会に誘われたのですが、その会の主催者が麹谷宏さんという、グラフィックデザインの世界ではとても著名な方だったのです。

麹谷さんは無印良品の創出者の一人、「農協牛乳」のオレンジ色のコミュニケーションパックのデザインなどで有名なデザイナーです。また、デザイン界の大御所にとどまらず、ワインと食にも造詣が深く、どちらの業界でも一目置かれる重鎮的な存在です。

そのワイン会には友人と一緒に参加したことで安心感もあったのですが、初参加の私にもとても居心地がよかった記憶があります。有名な方も何人かいらっしゃいましたが、みなさんとてもフレンドリーで、はじめての私も自然に受け入れていただけました。

私ははじめて参加したとは思えないほど、その会に溶け込み、リラックスできました。自分にとって、理想的な会だと感じました。麹谷さんにも、一方的にケミストリーを感じ、「またお会いしたい」と強く思ったのです。

ミーティング
写真=iStock.com/shapecharge
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メンターが教えてくれた人脈作りの重要なコツ

その会に連れて行ってくれた知人に「次回、参加するときは自分を必ず連れて行ってくれ」と熱心に頼みました。麹谷さんが出版されている本を買ってサインをもらったり、おすすめのワインを購入したりするなど、懸命に自分をアピール。セミナーや講演を開催されるときは時間の許す限り参加して、ご自身が主催されるワイン会や食事会に誘っていただけるように直談判するなどの努力も重ねました。

自分の熱意が伝わったのか、時々お声がかかるようになっていきました。麹谷さんとつながったことで、ワインの奥深さを学び、ますますワインが好きになっていきました。

麹谷さんはワイン以外にもお茶、音楽の会もされており、これらの集まりを通じて同好の知り合いを得ることができました。また、合唱団、ワイン関係の団体にお誘いをしていただき、私のネットワークは加速度的に広がっていったのです。

麹谷さんはメンターとして、私のその後の生き方を大きく変えるきっかけを与えてくれた人です。麹谷さんの主催する会に参加するうちに、いずれはこのような会を自分でもやってみたいと思うようになっていきました。

そこで、毎回参加するたびに、幹事のふるまいや運営の仕方を注意深く観察することにしました。そして、自分がやる場合はどうすればいいか、シミュレーションもしてみました。

「徹底的にモニタリング&コピーする」を実践したのです。

幸い、会食で利用した店、おいしい店のリストは自分の中に山のようにあります。いまこそ、これを利用するチャンスだと感じました。