国民年金は1階建て、しかし厚生年金があれば2階建てに

図表2を見ていただきたい。

【図表2】公的年金の種類

公的年金は1階建て部分である国民年金と2階建て部分である厚生年金から構成される。

個人事業主・フリーランス・専業主婦などの人は1階建て部分の国民年金しかもらえないが、会社員・公務員の人は、1階建て部分と2階建て部分の両方がもらえる。2階建て部分と組み合わさった場合、1階建て部分は国民年金ではなく基礎年金と呼ばれる。

これが日本の年金の構造だ。

1944年に厚生年金保険法が制定されたが、その時点での公的年金の対象者は会社員・公務員のみで、厚生年金の支給開始年齢は男女とも55歳だった。自営業者・フリーランスは対象外だった。その後、厚生年金の支給開始年齢は、60歳に引き上げられ、厚生年金保険法が制定から50年たった1994年には特別支給の老齢厚生年金を支給することを条件に最終的に65歳を支給開始年齢の目標とすることになった。

国民年金と厚生年金では年金の支給開始年齢が違っていた

何やら歯切れの悪い説明だが、1994年時点でいきなり支給開始年齢が65歳になったのではない。61歳、62歳と少しずつ順を追って年金支給年齢を引き上げ、最終目標である65歳に向かって歩みを開始したということだ。30年たった2024年9月現在でも、65歳未満で特別支給の老齢厚生年金をもらっている人がいる。名実ともに支給開始年齢が65歳になるのは、男性の場合2026年、女性の場合2031年である。

現在支給されている特別支給の老齢厚生年金は、1941年4月2日生まれから1966年4月1日生まれの人が対象になる。2024年9月時点の年齢で、58歳から83歳の人たちだ。(ただし、男女で5歳の差があるので注意してほしい。)私は1951年12月生まれなので、報酬比例部分に関する特別支給の老齢厚生年金を60歳からもらうことができた。

これに対して、国民年金法は1961年に施行され、それまで年金の対象になっていなかった自営業者・フリーランスの人も年金が受けられるようになった。ただし、その時点での支給開始年齢は65歳だった。一方、その時点での会社員・公務員の支給開始年齢は男性60歳、女性55歳だったから、バランスが取れていたとは言えない。そのためか、自営業者・フリーランスには60歳からの繰り上げ受給が認められていた。