子どもは「君が全部やるならいいよ」
A子さんに、そもそも出産の時はどうだったのかと聞くと、夫は子どもを持つことに反対はしないものの乗り気ではなかったそうです。「君が全部やるならいいよ」と言われて子どもを作り、出産が近づいて収入が減り、A子さんの負担が大きくなっても、夫は出産費用も全く出してくれなかったということでした。
夫の言う「全部やるなら」は金銭面を含めた全ての負担という意味だったのです。
そして、ベビー服、おむつ代、ミルク代も妻が出すものという線引きが続いた結果、成長した子どもの食費、果ては学童や塾の費用も妻の負担になってしまったのです。もちろん子育てにも全く協力してくれず、2人目が生まれれば何か変わるかもと思ったものの、何も負担してくれないのはやはり同じだったそうです。
他人のためにお金がつかえる人か
「なんて他人行儀な考え方だろう」と思った方もいるかもしれません。彼らの心理の根底にあるのは、まさにその「他人のように思っている」という点なのかもしれません。
交際経験や友人関係の乏しさから、結婚前も、他人のためにお金を使ったことがなく、「自分の稼いだお金は自分のもの」という認識が強いのだと思います。
その一方で、妻に食費や日用品代を出してもらうことには抵抗がないので、妻の稼いだお金は家のものだと思っている面が見られます。
人間関係が希薄なのも特徴で、家族になっても妻は他人、妻が生んだ子どもも他人と思っているのかもしれません。
その結果、子どもの成長に自分のお金を使うという認識がなく、塾代も学費も何も払いたくない……という気持ちになってしまうのではないでしょうか。
こういったタイプの人は、他人のためにお金を使うことができないという点では一貫しているので、結婚前からデート代も細かく割り勘にしています。
事前に見抜くことはある程度は可能だと思いますので、自分以外のために出費を全くしないタイプだと気が付いたら、結婚を考え直すことをおすすめします。
北海道札幌市出身、中央大学法学部卒。堀井亜生法律事務所代表。第一東京弁護士会所属。離婚問題に特に詳しく、取り扱った離婚事例は2000件超。豊富な経験と事例分析をもとに多くの案件を解決へ導いており、男女問わず全国からの依頼を受けている。また、相続問題、医療問題にも詳しい。「ホンマでっか!?TV」(フジテレビ系)をはじめ、テレビやラジオへの出演も多数。執筆活動も精力的に行っており、著書に『ブラック彼氏』(毎日新聞出版)、『モラハラ夫と食洗機 弁護士が教える15の離婚事例と戦い方』(小学館)など。