人材の価値を最大限に引き出す「人的資本経営」が注目されるいま、オフィスの在り方も問われている。オフィス環境づくりを手掛けるオカムラはラボオフィス「CO-EN LABO」をウェルビーイングなオフィスに改装。従業員一人一人がポジティブに働けるオフィスづくりのヒントが満載だ。

交流&ご縁を生み出す「CO-EN(交縁) LABO」

渋谷スクランブルスクエア44階に、東京の街並みが一望できる、開放感のある明るい空間が広がっている。まるでリビングのような自由で快適なこの空間は、オカムラの自社オフィスである。

オフィスづくりを通じて働く環境を提案してきたオカムラが、「ラボ」と称したオフィスを展開し始めたのは2009年からだ。17年からは、柔軟な働き方を実践する場を通じた環境提案も行っている。従業員が実際に働きながら、働き方や働く場の実験・検証を行う取り組みだ。

河野直木(こうの・なおき)
株式会社オカムラ
取締役 専務執行役員
オフィス環境事業本部長 兼 営業本部長

同社取締役 専務執行役員 オフィス環境事業本部長 兼 営業本部長の河野直木氏は、ラボ開設の経緯をこう語る。

「優秀な人材の確保、従業員の生産性向上、コミュニケーションの活性化、イノベーションの創出など、さまざまな経営課題を解決するために、オフィスの在り方を見直す企業が増えています。私たちは働きやすい『場』だけでなく、ワーカーの意識を変えるための『仕組みや運用方法』も提供するために、私たち自身が実践・検証する場としてラボオフィスを新設してきました。拠点ごとにテーマを定め、多様な働き方を体感し、実体験をお客さまに提案することを目指しています」

そして20年に東京・渋谷に「CO-EN LABO」を開設。従業員同士の「交流」や顧客との「ご縁」が生まれるオフィスを目指した。

当時のコンセプトは「リビングのようなオフィス」。スタートアップが集まる渋谷という場所柄、ソファやデザインチェアを多く取り入れ、交流しやすさや、カジュアルで落ち着いた雰囲気を重視したと、同社フューチャービジネス推進事業部 事業部長 佐藤直史氏は話す。

ワーカーの「不満」を減らし「人が活きる」環境を整備

ところが、実際に運用してみると意外にも「使いにくい」という声が多く寄せられたという。

佐藤直史(さとう・ただし)
株式会社オカムラ
フューチャービジネス
推進事業部 事業部長

「視線を遮る間仕切りがない空間は、コミュニケーションを高めるには最適でしたが、集中して作業をしたい人には不向きでした。また、『ソファに長時間座って見積もりや提案書を作っていると体が疲れる』『モニターが少なくて作業しづらい』など、働くための機能を求める声も多数上がってきたのです」(佐藤氏)

しかし、「これはオフィス自体の失敗ではなく、あくまでも、私たちの働き方に場が合っていなかっただけ」と河野氏は言う。実はこの「不満の声」を集めることも、「ラボ」の重要な役割だった。

「人が活きるオフィスをつくるには、働きやすい空間とやりがいが感じられる環境が必要です。ワーカーが何を求めているかを把握するためにも、実際に働く従業員のたくさんの『不満の声』は、非常に重要でした」(河野氏)

こうして23年8月に「CO-EN LABO」を大幅リニューアル。あらためてオフィスの在り方を考え、より「人が活きる」働き方ができる環境へと改装した。

「人が活きる」を実現する3つのポイント

働きやすさとやりがいでウェルビーイングを実現

「改装後は交流重視だけでなく、集中して作業ができるスペースや、モニターを複数台使って効率よく仕事ができる場を設置。天板の高さを調節できる電動昇降デスクも取り入れ、長時間同じ姿勢で働くことで起こる疲労やむくみの軽減、腰痛予防を目指しました」(佐藤氏)

森田 舞(もりた・まい)
株式会社オカムラ
働き方コンサルティング事業部
ワークデザイン研究所 所長

日本ではまだ認知度が低い電動昇降デスクだが、欧米ではかなり普及が進んでいるのだという。実際に電動昇降デスクを使った従業員からは「作業がしやすくなった」「体の疲れが減った」と好評で、フリーアドレスの座席は連日、この電動昇降デスクから埋まっていくという人気ぶり。「あまりに好評なので、いまは事前予約制にしました。現在、オフィスの50%が電動昇降デスクですが、従業員からはもっと数を増やしてほしいとリクエストが来ています」(佐藤氏)

エンゲージメントを向上させるためには、経営側として「従業員にどう働いてほしいか」と、ワーカー側が「どう働きたいか」の融合点を見いだすことが必要と話す河野氏。「個々が活き、共に働く相手が活き、チームが活き、仕事が活きてくれば、会社全体も活きてきます。オカムラが提案するウェルビーイングな職場を増やすことで、全ての人々が笑顔で活き活きと働き暮らせる社会の実現に貢献していきたい」と語る。

さらに、働き方が多様化している時代、心身共に健康的に働けるオフィス環境への改善は、人材確保の面からも高い効果が期待できると河野氏は言う。

「ウェルビーイングなオフィスには優秀な人材が集まり、事業の成長を加速させます。人的資本経営の一環で、働きがいのある職場づくりに取り組むことがとても大切です」(河野氏)

「CO-EN LABO」がWELL認証“プラチナ”を取得

WELL認証とは米国の公益企業IWBIによる、働く人たちの健康・快適性に焦点を当てた世界初の建物・室内評価システム。「CO-EN LABO」は人間工学に配慮したオフィス家具、個室空間から共同スペースまで多様な働き方ができるスペース、植物や採光などを意識した健康環境などが高く評価され、2024年2月に最高ランクの“プラチナ”を取得。

渋谷スクランブルスクエア「CO-EN LABO」を体感しよう!

オカムラの従業員が実際に働いているラボオフィスは見学可能。完全予約制のため、以下からお申し込みください。