拠点候補地としての
魅力に磨きをかける

IDCフロンティア「アジアン・フロンティア」

「北九州e-PORT」にDCを構える事業者は現在3社。03年、最初にソフトバンクテレコムが「北九州e-PORTセンター」を開設。07年には同社が「北九州e-PORT第2センター」を、そしてNTT西日本が「e-PORT小倉センター」を開設した。08年からはIDCフロンティアが「アジアン・フロンティア」1号棟~4号棟を続々とオープンし、5号棟も来春竣工の予定である。

ここへの立地理由に、気候を挙げる事業者もある。外気温は低いほどサーバーなどの冷却に好都合かと思われるが、冬季に氷点下まで達すると結露が問題となる場合もある。水はコンピュータの大敵だからだ。北九州なら年間を通じ極端な気温の高低がないため、空調管理に関連する負担も抑えやすいわけである。

また、外気を取り入れ排熱を室外に排出する外気空調を導入したDCや、地元の天然ガスコジェネ発電会社から電力供給を受ける施設などもあり、コスト低減と環境保全への配慮がうかがえる。

「北九州市は国から『環境未来都市』※に選定され、その一環で災害に強い都市も目指しています。企業向けにBCPやDRの拠点づくりを進める背景には、そうしたコンセプトもあるのです」と北橋市長。

環境に配慮しながら、企業の大切な情報を保全する北九州市。新たなBCP拠点などの構築を考える企業にとっては、見逃せない候補地となりそうだ。

※限られた都市、地域が選定され、環境や高齢化等の点で優れた成功事例を創出することを目指す。このほか北九州市は国の「グリーンアジア国際戦略総合特区」に指定。OECDからは「グリーン成長経済モデル都市」にアジアで初認定。


20件超の候補から厳選し
「北九州e-PORT」に決定

上木秀明●うえき・ひであき
大東建託株式会社
情報システム部 執行役員
大手シンクタンクや金融機関にてシステム関連の業務を手がけ、大東建託へ。情報システムの整備、刷新の陣頭指揮を執る。

顧客情報や各種契約、物件、部材のデータなどをはじめ、当社でも幅広い情報を扱っています。しかもここ数年は事業規模などの拡大に伴って、データ量が2倍3倍と膨らんでいく状況。この先、オーナー様や入居者様向け各種サービスの機能拡充などを考えると、自社ビルからDCへのデータ移転は喫緊の課題でした。そうしたなか、拠点として選択したのが「北九州e-PORT」です。

選定にあたっては、全国より20件超のご提案をいただき、最終的に北九州市のDCを選定しました。自然災害の少ない立地に建設された高レベルなファシリティも然ることながら、肝心のシステム運用まで睨んだ全方位でのBCP対策をご支援いただける環境が整っていたことも決め手となりました。企業にとって、データの存在はある面で“知識や記憶”にたとえられます。それが、あらゆる活動の基盤となっているわけです。とすると、DCは“知識や記憶”を蓄積・処理する“脳”のようなもの。その役割は、今後の事業活動においていっそう重要なものになっていくと考えています。