秋篠宮家はジェンダー平等に共鳴

秋篠宮家はこれまで、今のルールをひとまず前提に、当事者として最大限の努力を重ねてこられた。しかし一方、「ジェンダー平等」という普遍的な理念に強く共鳴されている事実も広く知られている。

秋篠宮殿下と最も近い関係にあるジャーナリストとして知られる江森敬治氏の著書『秋篠宮』(小学館)には以下のような記述が見られる。

「秋篠宮家を支える皇嗣職は、従来の組織形態とは違う。……
仕事面で男女の区別をなくすということは、先例を重んじる宮内庁の組織にあっては、かなり思い切った改革だ」

「秋篠宮は社会的、文化的に形成された男女の違いについて以前から違和感を覚え、意識的に発言しているように感じる。自分の家庭で、男の子でも女の子でも子供に分け隔てなく接し、育てるという姿勢にも、その考えが表れている」と。

また、先に紹介した女性天皇・女系天皇の容認を提案した「皇室典範に関する有識者会議報告書」が提出された翌年のお誕生日に際しての記者会見でも、女性皇族の役割について以下のように答えておられた。

「私たち(男性皇族)と同じで社会の要請を受けてそれが良いものであればその務めを果たしていく。そういうことだと思うんですね。これにつきましては、私は女性皇族、男性皇族という違いはまったくないと思っております」

男系男子主義的な古い発想とは無縁

さらに、ご次女の佳子内親王殿下もガールスカウトの行事などで「ジェンダー平等」について繰り返し呼びかけておられる。

今年の10月23日に行われた「ガールズメッセ2023」に臨席された時も、次のように述べておられた。

「今後、ジェンダー平等が達成されて、誰もが安心して暮らせる社会になることを、誰もがより幅広い選択肢を持てる社会になることを、そしてこれらが当たり前の社会になることを心から願っております」

さらに、私にとって印象に残る場面があった。先頃、秋篠宮・同妃両殿下が英国のチャールズ新国王の戴冠式に出発された際のこと。宮邸の玄関前でお見送りされていた佳子殿下と悠仁殿下が邸内にお戻りの時に、ごく自然な形でお姉様の佳子殿下が先にお入りになったのだ。

男系男子主義的な古い発想では、「皇位継承資格をお持ちの男子である悠仁殿下が先でなければならない!」となるかもしれない。だが、秋篠宮家の家風はそのような頑なさとは無縁のようだ。