一番気になる「充電の速さ」はUSB-Cで向上するか
では、充電速度はどうか? 本記事執筆時点ではまだ製品が発売されていないため断言はできないのだが、こちらも従来よりも向上しそうだ。
発表されているスペックでは「別売の20Wアダプタを利用することで約30〜35分で最大50%の充電が可能」とされているが、実は先代モデル『iPhone 14 Pro』は27Wまでの入力に対応しており、対応電源アダプタを利用することでより高速な充電ができた。先んじてUSB-Cを対応しているAndroidスマートフォンには最大45Wでの充電に対応する製品も存在するため、新しい『iPhone 15 Pro』もそれか、それに次ぐ高速充電対応が期待できるのではと期待されている。なんにせよ、高速充電にはそれに対応する電源アダプタが必要なので注意するようにしたい(近年のiPhoneには電源アダプタが付属しないため、自分で購入する必要があることにも注意)。
付属ケーブルでは『iPhone 15 Pro』の実力を引き出せない
また、USB-C採用によってもっとも大きな性能向上が見込める通信速度の向上についても注意が必要だ。今回、ハイエンドの『iPhone 15 Pro』および『iPhone 15 Pro Max』は、これまでの20倍にもなる最大10Gbpsでの高速データ通信が可能になったのだが、この恩恵を受けるには別売の高速データ通信対応ケーブルを購入する必要がある。付属のケーブルでは、見た目は同じでも従来通り最大480Mbpsでの通信しか行えないことを覚えておいてほしい(スタンダードな『iPhone 15』はそもそも高速データ通信に対応していないため、付属ケーブルで問題ない)。
なお、USB-Cケーブルは先にも述べたように、USBの仕様が「複雑怪奇」な発展を遂げた結果、見た目は同じでも性能の異なるケーブルが存在するという困った状況になってしまっている。何Wまでの充電に対応するか、どこまでの通信速度に対応するかが見た目からパッと識別できないのだ。
ざっくり言うと高性能なケーブルほど太く、硬く、取り回しが悪くなるため、自分の利用スタイルに合ったケーブルを選ぶようにしたい。高速データ通信対応ケーブルは太く、高価なので、撮影した4K動画をPCへ大量に取り込むといった用途がないのであれば、低速なケーブルで十分だろう。『iPhone 15 Pro』に高速データ通信対応ケーブルが付属しないのもそのためだ。最も安いモデルでも15万円以上するのだから両方付けてくれても罰は当たらないと思わなくもないのだが……。