国民感情に反した政策や予算が連発される理由
さらに、予算は基本、前例踏襲であり、時代にそぐわなくなっても、無駄になってもなかなか削られないことも問題だ。自らの省庁の予算を増やすことが役人の手柄であり、族議員はそれを後押しするとともに自らの実績にするわけだ。これらが間違った方向で出ているのが、国民感情に反する各種政策や予算ということになる。
議員は選挙で選ばれる。そして、役人と異なり各分野の専門知識を持つ人は少ない。議員を育てるのが部会制度であるが、同時に長年のなれ合い構造による問題も生じるのである。そこで、政権交代でこれを壊すという話になるが、過去の政権交代の例を見てもわかるように、それは簡単ではなく、逆に議員側が素人集団の集まりになってしまうため、役人たちに牛耳られることになる。
コロナ禍に新たな利権が生まれ、暴走している
また、コロナは予算を大きく変えたことも大きい。景気対策、雇用対策等で膨大な新規の事業計画が生まれ、それを個別に丁寧に精査することなく、緊急性を優先する形で即時予算化された。ここに、新たな利権が生まれ、それが暴走しているともいえる。その最たるものが森補佐官の「ブライダル補助金」であるといえる。
今回、森まさこ首相補佐官の不用意なツイートで発覚したこの問題であるが、先述のようにこれはブライダルだけの問題ではない。すべての分野で同様の案件があり、時代にそぐわなくなっても続いている補助金が多数存在する。本来、このような問題を指摘し改善を求めるのが野党の役割といえるが、それが機能していないのが日本の最大の問題であり、またメディアの役割でもあるといえる。
1969年生まれ。日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務した後、独立。主な著書に、『世界と日本経済大予測』シリーズ(PHP研究所)、『「米中関係」が決める5年後の日本経済』(PHPビジネス新書)のほか、『「中国大崩壊」入門』『2030年「シン・世界」大全』(以上、徳間書店)など多数。