SNSでの評判など自分の体面を気にする人への対処方法

今回のケースでのポイントは「フォロワーからの信用を守る」「センスがよいイメージを守りたい」という心理的側面が見られることだ。ここには「自己呈示」としての攻撃という特徴がある。「体面やプライドへのこだわりが強く、注目されたい」人には、「神対応」よりも、その人が大事にしているものに敬意を示す方が態度の軟化につながる。どんな客でも同じ対応をとっていることを理解してもらいながらも、敬意や感謝を重ねて伝えるのが効果的だ。

それを知っているあなただったら、次のように答えるはずだ。

「ご愛食だけでなくご紹介までしていただき、誠にありがとうございます。ご対応できたらと思うのですが、実物が確認できない場合は対応できない決まりなんです。ご期待にそえず申し訳ございません」
「……そう。でも他の人たちもガッカリしたら私も辛いんだけど」
「ご心配をおかけして申し訳ございません。検品を含めて今後の見直しに努めるよう、いただいたご意見を関連部署に伝えます。必要があれば、ご紹介から購入してくださった方々にも届くよう、弊社のホームページやSNS上で説明も加えるようにと伝えておきます。貴重なご意見を誠にありがとうございます」
「たしかにそれなら皆も納得してくれるかな……」
「ありがとうございます」

誰だって怒鳴られたり責任を追求されたりすれば、ストレスを感じるものだ。しかし、前提知識やタイプごとの応対方法がわかっていれば、闇雲に怖がらずに済むだろう。

※参考資料
・吉川徹 2022『コールセンターもしもし日記』フォレスト出版、70頁
・弁護士ドットコムニュース 2022年11月6日 「顧客への『神対応』がネットで絶賛された元お客様相談室長が『間違いだった』と反省するワケ」(2023年3月30日閲覧)

桐生 正幸(きりう・まさゆき)
東洋大学社会学部社会心理学科教授

山形県生まれ。東洋大学社会学部長、社会心理学科教授。日本犯罪心理学会常任理事。日本心理学会代議員。文教大学人間科学部人間科学科心理学専修。博士(学術)。山形県警察の科学捜査研究所で主任研究官として犯罪者プロファイリングに携わる。その後、関西国際大学教授、同大防犯・防災研究所長を経て、現職。著書に『悪いヤツらは何を考えているのか ゼロからわかる犯罪心理学入門』(SBビジュアル新書)など。