マイクロソフトが日本初の拠点を設ける目的とは

同じ日の日本経済新聞には「Microsoft、神戸に日本初のAI・IoT開発拠点 中小のDX支援」との記事が掲載されました。日本初です。

少し前の6月7日には、政府は「新しい資本主義」の実行計画改定案を公表し、脱炭素やデジタル化を打ち出しました。それを受ける形で松尾准教授の「政府が支援すべきだ」との考えを示し、マイクロソフトが日本の初拠点発表につながるのです。

松尾准教授は、マイクロソフトが日本を狙っていることに対して、警鐘を鳴らしているのはないでしょうか。

日本ブーム、投資マネーの日本へのシフトによって、日本の株価はどうなるでしょうか。1929年の世界大恐慌でニューヨークダウが暴落しましたが、そのときの動きと、1989年12月にピークをつけた日経平均株価のその後の動きが非常に似ています。

ニューヨークダウは暴落前の水準を回復するのに25年2カ月かかりました。1929年9月に381ドルでしたが、1932年7月に41ドルまで下がったのです。下落率は89%です。

日経平均株価は5万2000円も視野に

一方で1989年12月の日経平均株価は3万8915円でしたが、2009年3月に7054円まで下がっています。下落率は約81%でニューヨークダウの下落率と似ています。面白いのは当時のニューヨークダウに100をかけるとおおよそ現在の日経平均株価になります。

ニューヨークダウは暴落前の水準に戻るのに25年2カ月かかっています。不思議なことに、このときのニューヨークダウ381ドルに100をかけると現在の日経平均株価になります。ニューヨークダウはその後の1年強で、さらに大きく上昇しています。

日本の場合は、1989年の高値からすでに33年半経っていますので、少し時間がかかっていますが、遠からず最高値を更新すると考えられます。その後、どのくらいまで上がるかの判断は難しいのですが、ニューヨークダウは521ドルまで上がりました。これを日本に当てはめると5万2000円となります。下落幅の倍返しの水準です。

こんな株価水準を語ることが、決して夢物語ではない時代が、到来しつつあると私は考えています。

今回はジャポニスムの再来をキーワードに新聞記事をチェックしてみましたが、記事の内容を素直にそのまま理解するだけでなく、「こんな展開があるかもしれない」と連想を広げていくことが銘柄選択の幅を広げることになります。

渡部 清二(わたなべ・せいじ)
複眼経済塾 代表取締役・塾長

1967年生まれ。1990年筑波大学第三学群基礎工学類変換工学卒業後、野村證券入社。個人投資家向け資産コンサルティングに10年、機関投資家向け日本株セールスに12年携わる。野村證券在籍時より、『会社四季報』を1ページ目から最後のページまで読む「四季報読破」を開始。20年以上の継続中で、2022年秋号の会社四季報をもって、計100冊を完全読破。2013年野村證券退社。2014年四季リサーチ株式会社設立、代表取締役就任。2016年複眼経済観測所設立、2018年複眼経済塾に社名変更。2017年3月には、一般社団法人ヒューマノミクス実行委員会代表理事に就任。テレビ・ラジオなどの投資番組に出演多数。「会社四季報オンライン」でコラム「四季報読破邁進中」を連載。『インベスターZ』の作者、三田紀房氏の公式サイトでは「世界一「四季報」を愛する男」と紹介された。著書に、『会社四季報の達人が教える 誰も知らない超優良企業』(SB新書)、『会社四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方』(東洋経済新報社)、『「会社四季報」最強のウラ読み術』(フォレスト出版)、『10倍株の転換点を見つける最強の指標ノート』(KADOKAWA)などがある。