なぜこれほどに反発が強いのか

しかし、英国新国王の戴冠式という重大な儀式に、わが国の皇室を代表して秋篠宮・同妃両殿下が参列されるにあたり、必ずしも広範な国民的共感を背負われた状態になっていない、ということは深刻な事態だ。

その理由・背景とは何か。

おそらく、以下の3つの事情が組み合わさってのことではあるまいか。

まず第一に、天皇・皇后両陛下への国民の敬愛の気持ちが強いことが挙げられる。そのために、わが国の皇室とゆかり深い英国王室の重大な儀式には、天皇・皇后両陛下が参列されることこそが最もふさわしい、というストレートな思いがある。

周知の通り、天皇・皇后両陛下にはまことに申し訳ないことながら、平成時代には理不尽なバッシングなどにより、おつらい時期が長く続いた。それを両陛下および敬宮としのみや(愛子内親王)殿下がご忍耐の上、乗り越えてこられた(ただし皇后陛下のご療養は今も続いているが)。その事実は多くの国民の共感を呼び、両陛下への尊敬の気持ちをいっそう深めさせている。

先頃、両陛下と敬宮殿下がおそろいで、約4年ぶりの地方でのご静養のために栃木県にある御料牧場にお出ましのさい、カメラの前で思わず両陛下がお互いの頭を軽くぶつけられるというハプニングがあった。その時も、お三方の自然なご反応ぶりから、普段はうかがえないお人柄とご家族の仲睦まじさが伝わり、かえって人々の敬愛の気持ちが高まった。

そのような天皇・皇后両陛下こそ……という素直な国民の気持ちがある。

愛子さまが代理を務められない理由

次に第二には、天皇・皇后両陛下がもしお出ましになれないのであれば、天皇陛下のご長子(第1子)でいらっしゃる敬宮殿下こそ、代理にふさわしいはずだ、という多くの国民の思いがある。

エリザベス女王の戴冠式の時(1952年)には、昭和天皇の代理として同じく“天皇のご長子”でいらした上皇陛下が「皇太子」として参列されている。上皇陛下は当時、19歳。皇太子の成年は18歳なので(皇室典範第22条)、ご独身ながらご立派に天皇の代理を務められた。

その前例を思い浮かべると、敬宮殿下も同じ天皇のご長子であられ、しかも21歳の成年皇族でいらっしゃる。その点で代理に何の不足もないはずだし、ご成年を迎えられた時の記者会見でのご様子や、一般参賀でのお姿などから、むしろ天皇陛下の代理に最もふさわしい、と多くの国民が考えるのも、無理はない。

識者の中にも“一案”として敬宮殿下のご出席を提案された方もおられる。

しかし、残念ながら現在の制度を前提とする限り、そのような選択肢はないだろう。なぜなら、今の皇室典範では女性に皇位継承資格を認めておらず、敬宮殿下は天皇のご長子なのに「皇太子」でないばかりか、皇位継承のラインから完全に外されているからだ。つまり「皇太子“クラス”」に当てはまらないことになる。