※本稿は、本田秀夫『学校の中の発達障害 「多数派」「標準」「友達」に合わせられない子どもたち』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
子どものイライラの原因は「勉強」であることが多い
児童精神科では子どものメンタルヘルスに関する相談を受けているわけですが、話を聞いていくと、お子さんの勉強に関する悩みが出てくることが非常に多いです。
例えば、幼稚園や小学校低学年の頃から本を読むことや勉強があまり得意ではなかったお子さんが、それでもがんばってやってきたけれど、小学3年生くらいになって、いよいよ勉強がつらくなってしまった、というような話がよくあります。
親御さんも先生も「この子は勉強が苦手だな」ということはある程度、わかっていた。でも本人もがんばっていたので、一生懸命にサポートをしてきた。それが段々とうまくいかなくなって、子どもが授業中にイライラしたり、宿題をひどく嫌がるようになった、という話です。年齢が上がってくると、大人に対して反抗的な態度をとる子もいます。中には親に暴力を振るうようなトラブルもあります。
そういう状態の場合、親御さんは「子どもの暴力に悩んでいる」ということで、私たちのところに相談にきます。よく話を聞いていくうちに、背景に勉強がらみの衝突があることがわかってくるのです。
子どもが、勉強が苦手でイライラして、暴力的になってしまっている場合、親と先生には何ができるでしょうか。
暴力が出るような状態になったとき、どうやって子どものモチベーションを引き出せばよいでしょう。
みなさんはどう思いますか?
親ができること:子どもを苦しめている原因を考える
勉強関連で悩んでいる親御さんは、子どもに勉強させることを自分の義務のように感じている場合があります。子どもが社会に出るまでに、ある程度の学力をつけさせなければならないと考えていても、うまくいかなくて悩んでいるのです。そのせいで子どもを何度も叱ってしまって、反抗されてトラブルになり、苦しんでいるわけです。
私はそういう親御さんに「最初から攻撃性を持って生まれてくる人はほとんどいない」という話をします。子どもは、基本的には「誰かを攻撃したい」と思っているわけではありません。それでも暴力を振るってしまうということは、誰かから理不尽な仕打ちを受けて、それに反抗して身を守っているのだと考えられます。私はそのようなことをお伝えして、親御さんに心当たりがあるかどうかを聞きます。
すると、中には「自分が追い込んでいるかもしれない」と言う人もいます。理不尽に勉強を押し付けてしまったかもしれないと感じる人もいるのです。また、学校の勉強や宿題が難しすぎるということに気づく人もいます。