私はよく「今、外貨資産を買うのは保険である」と言っています。今お話ししたことは、当たらないほうがいい。でも、ここまで累積赤字が増えると、ハイパーインフレが起きる確率は20%、30%はあるでしょう。
もしそうした確率で火事が起きるなら、普通の人は保険をかけますよね。それで火事が起きなくても、保険料がムダだったとは思わないはずです。
今、1ドル=80円でドルを買い、もし予想がはずれて1ドル=60円になったら20円の損。でも、日本は破綻せずに預金も無事で、いいじゃないですか。幸い今は円高だから、保険料がすごく安い。これからの数年間は、お金儲けではなく、生活と資産を守るための通貨分散が必要だと思います。
投資するのは、やはり先進国の通貨がいいでしょう。米ドルを中心に、オーストラリアドル、イギリスポンド、スイスフラン、カナダドルなどですね。米ドルが中心なのはなぜかというと、やはり通貨の横綱だからです。
ただ、米ドルだけだと不安も残るので、先進国の通貨に分散するのがいいでしょう。資産のうちどれだけを外貨にするか、どんなバランスで組み合わせればいいかは人によって違うので、金融機関の担当者に聞いてみてもいいでしょう。プライベートバンクに相談する方法もありますね。
海外投資と聞くと、実際に海外に行ってお金を預けるのかと考える人もいます。でも、海外で口座を開くのはよほど英語がうまくないと難しく、日本の銀行・証券会社や海外金融機関の日本支店で十分です。それに、そうでないと日本の優遇税制が使えない、ということもありますからね。
借金をして不動産投資をする方法も、リスクはありますが、ハイパーインフレには強い。ローンはタダ同然となり、不動産価格は上がりますからね。
ただ、マンション経営の場合、大混乱で企業が倒産して、借り手が失職すれば賃料が入ってこなくなります。そうなると、ローンが返せなくなって銀行に担保として持って行かれてしまう。これが一番のリスクですね。
だから、借金をして不動産を買うとしても、保険としてある程度は外貨建て資産を買っておくといいでしょう。実は私も、会社のあるビルをほとんど借金で買っています。この最上階以外はすべてワンルームマンションなんですから(笑)。