高年齢雇用継続給付の受け取り、すべきか、すべきでないか?

高年齢雇用継続給付は、給与ダウンがあっても再雇用・再就職で働く方の強い味方になる給付金です。しかし、特別支給の老齢厚生年金を受け取る場合は注意が必要です。高年齢雇用継続給付を受け取る場合、特別支給の老齢厚生年金の一部減額が行われるからです。

白髪のビジネスウーマン
写真=iStock.com/maruco
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支給停止される年金額は、高年齢雇用継続給付の支給率に応じて異なります。最大で賃金の6%となっています。高年齢雇用継続給付の支給率が高くなるほど、特別支給の老齢厚生年金の支給停止割合も高くなります。

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たとえば、60歳時点の賃金が30万円、現在の賃金が15万円、63歳から特別支給の老齢厚生年金が月額10万円受け取れる人がいるとします。

この人の63歳からの収入は、

・賃金…15万円(賃金の低下率50%)
+高年齢雇用継続基本給付金…2万2500円(15万円×支給率15%)
+特別支給の老齢厚生年金…10万円
−年金の支給停止額…9000円(15万円×停止割合6%)

となるため、合計で26万3500円となります。この場合、特別支給の老齢厚生年金が本来よりも月9000円少なくなる、というわけです。

特別支給の老齢厚生年金が減っても働いた方がいい

もっとも、特別支給の老齢厚生年金の減額率は高年齢雇用継続給付の支給率より緩やかです。高年齢雇用継続給付よりも年金が減ることはありません。ですから、たとえ特別支給の老齢厚生年金が減ったとしても、働いたほうが収入としては多くなります。

それに、60歳以降も働くことで厚生年金は増えます。特別支給の老齢厚生年金の多少の減額には目をつぶって、働くほうがいいでしょう。