「3高」から「4低」「3生」へ
十分な収入があって快適な暮らしを送ることができ、自分と同じか少し上の階層で価値観が合って理解し合え、家事や育児に進んで協力してくれる─というもの。
高身長に目をつぶった代わりに、家事などの協力という要素が新たに加わったのが特徴だ。
そうして2010年代に入ってからは、「4低」(低姿勢=威張らない、低依存=家事・育児を分担、低リスク=安定した職業、低燃費=節約志向)で、女性にとっての負担やリスクを軽減する「低さ」が求められ、また「3強」(体が強い、不景気に強い、家事などの生活力に強い)という女性を経済面でも体力面、生活面でも守れる「強さ」が求められるようになる。
近年では、「3生」(生存力=トラブルが起きても対処できる、生活力=家事力、精神的・経済的自立、生産力=困難な状況でも新たなものを生み出せる)が求められているという。
男性側にも、変化がないわけではない。収入が伸び悩む比較的若い世代の中には、それが本意かどうかは別として、女性に経済力を求め、男性自身は料理の腕を磨くなど生活力をアップしてモテようとするケースも増えている。
「出生動向基本調査」によると、結婚する意思のある18〜34歳未婚者に結婚相手に求める条件を尋ねたところ、「経済力」と回答した男性は2015年に41.9%と、1992年の26.7%から約1.6倍に増加しているのだ。
京都生まれ。1994年、米・ニューヨーク大学文理大学院修士課程修了後、新聞社入社。ジャーナリスト。博士(政策・メディア)。日本文藝家協会会員。専門はジェンダー論、労働・福祉政策、メディア論。新聞記者時代から独自に取材、調査研究を始め、2017年から現職。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士課程単位取得退学。著書に『捨てられる男たち』(SB新書)、『社会的うつ うつ病休職者はなぜ増加しているのか』(晃洋書房)、『「女性活躍」に翻弄される人びと』(光文社新書)、『男が心配』(PHP新書)、『シン・男がつらいよ』(朝日新書)、『等身大の定年後 お金・働き方・生きがい』(光文社新書)などがある。