今年2月に「JTグループ環境計画2030」の目標値を上方修正するなど、サステナブルな取り組みを加速させている日本たばこ産業。経営理念やグループのミッションを通じて「他者との共存」の重要性を説く同社が、長年、環境フォト・コンテストへの協賛を継続する理由とは。

経営理念やグループミッションで「他者との共存」にフォーカス

——JTグループのサステナビリティに対する基本的なスタンスをお教えください。

日本たばこ産業株式会社 サステナビリティマネジメント部 次長 村上岳史さん

【村上】JTグループの経営理念は「4Sモデル」の追求。これは、「お客様を中心として、株主、従業員、社会の4者に対する責任を高い次元でバランスよく果たし、4者の満足度を高めていく」という考え方です。また、JTグループミッションでは「自然・社会・人間の多様性に価値を認め、お客様に信頼される『JTならではのブランド』を生み出し、育て、高め続けていくこと」としています。このように、当社グループは経営の根幹に「他者との共存」を据えており、その考え方は環境やサステナビリティへのスタンスそのものであると考えています。健全かつ持続可能で豊かな環境が将来の世代に引き継がれるよう、社会およびJTグループのバリューチェーンにおける環境課題に取り組むのはもちろん、持続可能性を意識した事業活動を通じて、企業活動と自然環境の共存・調和の実現に取り組んでいます。

——今年2月には「JTグループ環境計画2030」の目標を更新されました。

【村上】以前の目標は、2015年に採択されたパリ協定の「世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度より十分低く保つこと」を基に策定したものです。今や、気温上昇を「同1.5度未満に抑える」とする努力目標がグローバルなトレンド。当社としても、このよりアグレッシブな目標に挑戦すべく、昨年1年をかけて達成までの道筋を調査・分析した結果、2030年までにJTグループの事業活動におけるカーボンニュートラルの達成、2050年にはバリューチェーン全体でのネットゼロと、目標をアップデートするに至りました。なお、30年までの目標は国際的なSBTi(Science Based Targets initiative)の考え方に基づいたもので、現在、SBT認定取得の準備を進めています。

グループ内における「再生可能エネルギーの利用促進」に注力

——具体的にはどのような取り組みを実践しているのでしょう。

【村上】電力使用量に占める再生可能エネルギーの利用割合を年々拡大させており、2021年時点で23%に達しました。この再生可能エネルギーの利用促進をさらに加速させていく予定です。さらに、当社の主力事業であるたばこ事業の原料加工の現場では、インフラが整備されておらず、電気の代わりに木材を燃焼して熱源を確保している場所などもあります。そのような現場で使用する燃料をサステナブルなものに変換することで、温室効果ガスの削減および森林保全にも努めています。上記の取り組みに関連する「再生可能エネルギーの利用促進」「温室効果ガスの削減」「森林資源の循環」に、「水使用量削減」「廃棄物削減」を加えた5つに係る目標を「JTグループ環境計画2030」に設定。グループを挙げてこの5分野に対する取り組みを加速させています。

ヨルダンにあるJTのたばこ工場では、太陽熱集熱設備(=写真)を設置して得た熱エネルギーをたばこの製造工程や施設内の空調に活用。たばこ工場として世界初となるこの取り組みは世界銀行に評価され、2018年に「環境スチュワードシップ賞」を受賞。

——改めて、貴社の環境フォト・コンテストにおける募集テーマ「共存」には、どんな想いが込められているのでしょう。

【村上】先にも申し上げたとおり、当社は「他者との共存」を重視しており、「自然と人との共存」も同様です。私たちの社会が支え合いで維持されているように、地球環境も地上に存在するあらゆる生命がそれぞれの役割を果たすことで、バランスを保ってきたといえるでしょう。このような「共存」の重要性に共感いただける方々の写真を発信することで、世の中の「共存関係」のさらなる発展につながればという想いを込めました。

2022年の優秀賞「語らい」は、馬とカラスがまるで語り合っているように見える作品。モノクロという点でもひと際目を引き、動物の生きる知恵や尊さなども写し出された、自然界の共存を物語る素晴らしい一枚だと思いました。また、カカシとチャボと女性の和やかな表情が、共存の多様な在り方を教えてくれる「農村風景」、大きなご神木を背にした女性の何気ない姿から日本の優れた習慣を切り取った「いつもの日課」の佳作2点も、当社の求める共存の形を巧みに表現した秀作でした。

2022年優秀賞「語らい」三好啓司さん
2022年佳作1「農村風景」竹内良弘さん
2022年佳作2「いつもの日課」安井健二郎さん

共存の素晴らしさを伝える作品が世に出ることを後押ししたい

——最後に、環境フォト・コンテストの参加者にメッセージを。

【村上】毎年、多くの素晴らしい作品をお送りいただき、ありがとうございます。作品から共存の尊さに気付かされたり、共存するための知恵を学んだりと、私たち自身が改めて「共存」の素晴らしさを再確認する機会にもなっています。JTグループは、当社テーマとそこに込めたメッセージに共感していただける方々の作品が世に出ることを後押ししたいと考えています。今後もさまざまな切り口で「共存」のあり方を表現していただくことを楽しみにしています。