子どもとのかけがえのない時間

子どもとの時間は本来楽しいもののはずなのに、子育ては大変というところばかり強調してしまうのもよくないのではないでしょうか。先にあげた育休をとったお父さんが「子育ての大変さが分かった」と言っているのは大事なことですけれど、子どもと一緒にいる楽しさもわかったに違いありません。

事実、ほんの少しですが、「子どもがなついて、子育ての時間が楽しくなった」という答えもありました。アンケートとなるとどうしても「子育ての苦労」を浮き彫りにしますけれど、子育ての本質は楽しさのはずであり、本当はそれを皆でニコニコしながら話し合っている社会がいいなと思うのです。

ここでふと思い出しました。私が子どもの頃、父が会社の帰りにお土産にお菓子を買ってきてくれるのが嬉しかったなあとか、日曜日には一緒にレコードをかけて音楽を楽しんだなあとか。育児というと食事やおむつ替えなどを思い浮かべますが、楽しみ係も大事でしょう。キャッチボールやサッカーなどお父さんも大切な係をやっていますね。

人間は、“みんなで”育てるように産まれてくる

人間は脳が大きくなったので、それが完成してからでは母親の産道が通れません。ですから早めに生まれます。しかも、脳を守るために脂肪をたっぷりつけて生まれますので、早産なのに体重は3キロもあり、ゴリラやチンパンジーなど他の霊長類の赤ちゃんに比べたら重いのです。ちなみにゴリラはお母さんは100キロもあるのに、赤ちゃんは人間より小さい1.8~2キロくらいで生まれてきます。人間の場合、お母さんがずっと抱き続けているには重すぎるので、離して寝かせておくことになりますし、しかも自分で歩けるまでには1年以上もかかるのです。

ですから、人間の赤ちゃんはお母さんだけでなく、周囲の皆が面倒を見る共同保育をするように生まれるのだといえます。一人で寝かされていますから、泣いて自分の存在を知らせ、誰かに助けてもらおうとしますし、抱き上げてくれた人に向かってはニコリと微笑むのです。脳が大きいという人間の人間らしさを示すための最も大きな特徴は、皆で育てることとセットになっているのです。