敵対的買収で狙われやすい企業の特徴
コロナ禍の業績悪化で国内外問わずM&Aが増えています。3月は多くの日本企業が決算を行う時期。決算発表後は、株価が乱高下するといわれますが「企業価値に対して株価が割安」な会社は、“敵対的買収”を狙われる可能性があります。
敵対的買収はM&A、すなわち「Mergers(合併)and Acquisitions(買収)」のひとつの手法です。
そもそもM&Aは、必ずしも双方の合意にもとづく「友好的買収」ばかりとは限りません。当然そこには“敵対的買収”と呼ばれる他企業による乗っ取りも数多くあります。日本も、バブル崩壊後の1990年代後半から「ハゲタカファンドによる日本企業の買い叩き」という形で敵対的買収が増えましたが、何といっても日本人の多くがそれを意識する大きなきっかけとなったのは、2005年のライブドアvs.フジテレビの「ニッポン放送株争奪戦」でしょう。その時の攻防を振り返りながら「企業買収と防衛策」について考えてみましょう。
敵対的買収で狙われやすい企業には、冒頭にお伝えした「企業価値に対して株価が割安」のほか、「価値の高い資産や技術、特許などを所有」「買収に対して無警戒」といった特徴がありますが、実は2005年当時、フジサンケイグループにも狙われやすい特徴がありました。「資本のねじれ現象」です。
意外にも、当時の株式持ち合い比率でいくと、グループ内では「ニッポン放送が親会社、フジテレビが子会社」でした。これは、かつての力関係(ラジオがメディアの中心。テレビはあくまで後発)がそのまま放置されてきたせいですが、こういう隙は敵対的買収者から狙われる格好のポイントになります。
ライブドアも、そこに目をつけました。「現状、企業価値の低いニッポン放送が、フジテレビの株式を大量保有している。ということは、もしもわれわれがニッポン放送株を過半数ゲットできれば、間接的にフジテレビを支配できるぞ!」……ここから、ライブドアvs.フジテレビによる、ニッポン放送株争奪戦が始まりました。