手続きをしていない人が100万人以上に及ぶ

ところが、実際にはこのどちらの方法もやっていない人たちがいて、その人数は100万人以上にもなります(iDeCo公式サイト「iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入等の概況」。そしてこの方たちが持っている資産の額の合計はなんと約1500億円もあります。さらに言えば、このお金はひょっとしたら60歳に到達しても受け取ることができないかもしれないのです。

企業型確定拠出年金というのは、原則は会社が社員のために掛金を出し、そのお金を社員が自分で管理・運用する仕組みの制度です。せっかく会社が積み立ててくれたお金が将来受け取れないかもしれないということになると、これは一大事です。一体どうしてそんなことになるのでしょう。

退職後6カ月間手続きがないと「自動移換」される

このしくみを説明するためには「自動移換」という制度があることをお話しないといけません。先ほどお話ししたように、会社で企業型確定拠出年金に加入していた人が会社を辞めるとそれまでに積み立てられたお金をiDeCoに移すか新しい勤務先に企業型があれば、そちらに移すことになると言いましたが、この手続きは原則として自分で行う必要があります。しかもそれは辞めた後6カ月以内にやらないといけないのです。それをやらないとどうなるかというと、この資産は自動的に売却され、「国民年金基金連合会」というところにお金が移されて現金で預かることになります。これを「自動移換」というのです。

では、自動移換になってしまうと一体どういうことになるでしょう。これについては以下の4つの問題点が生じます。

1.自動移換後は運用することができない
2.自動移換されている間はずっと手数料だけは引かれる
3.60歳になってもすぐに受け取れない可能性がある。
4.移換手続きに手数料がかかる