認知症になったら介護費用で負担増
共働きの場合には、遺族厚生年金には期待できないし、収入が半減するということがわかると思います。
では、一人暮らしになった時の生活はどうなるのかというと、高齢単身無職世帯の月額支出が15万円かかるというデータがあります。もともと独身の人もこちらに該当します。
上記の例では、月額18万円、20万円ということなので、生活がまったくできないというわけではありません。しかし、いずれにしても収入(年金)は半減するわけです。ですから、それまでより切り詰めた生活をしなければならないでしょう。
相続財産が多かったとか、老後資金が多く残っている場合ならば、取り崩しながら生活をすることもできます。しかし夫の介護などで老後資金が減ってしまった場合には、さらに厳しくなるということになりかねません。
さらに追い打ちをかけるようで申し訳ないのですが、認知症の問題があります。認知症の発症率は高齢女性の方が高く、85~89歳では約半数の48.5%、90歳以上では71.8%が発症するというデータがあります。
認知症になると、避けられないのが介護です。生活費にプラスで介護費用もかかります。公的介護保険があるので、原則、1割負担でさまざまな介護サービスを受けるとことができる。とはいってもやはり負担は増えます。
生命保険文化センターの調べによると介護にかかる総費用は約500万円以上です。介護期間は平均で5年1カ月、認知症の場合はこれより長くなることも多いです。もし介護施設に入ることになったらさらに費用負担が重くなることが考えられます。
公的年金の増額で老後生活をエンジョイする
女性の場合、男性より平均的に長生きなので老後生活において不利になります。だからこそ、それに備えておくことがとても重要です。
まずは老後資金の増額ということで、iDeCoへの加入です。すでにiDeCoに加入している人は、限度額いっぱいまで引き上げるのもいいでしょう。また、企業年金がありiDeCoへの追加の申し込みが難しい場合は、つみたてNISAを利用するのもいいです。
私のオススメの備えは、公的年金の増額という方法です。公的年金は一生涯受け取ることができるので長生きに対抗できる資金なのです。
公的年金を増額するやり方は、いくつかあります。
まず、厚生年金に加入しながら長く働くことで、年金の増額になります。厚生年金は70歳まで加入することができるので、働いている間は厚生年金が増額されます。フリーランスの人は、国民年金に加入していると思います。国民年金に上乗せする制度で、付加年金があります。付加年金は毎月400円を上乗せして納めれば、年金の受給額を増やせます。もっと増やしたい場合は、国民年金基金に加入するという方法があります。国民年金基金は、終身タイプを選ぶことができるので、長生きに対応できる資金を作ることができます。
また、年金の繰り下げ受給をしても受給額を増やすことができます。1年間繰り下げ受給をすると年8.4%の増額になります。70歳まで繰り下げると42%の増額になります。さらに2022年4月からは75歳まで繰り下げることができるようになるので、75歳まで繰り下げると84%の増額です。年金受給額が倍近くなるということです。
年金受給額をアップさせて、長生きに備え、豊かな老後生活をエンジョイしてください。
徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)、『とっくに50代 老後のお金どう作ればいいですか?』(青春出版社)、監修書には年度版シリーズ『NEW よい保険・悪い保険』(徳間書店)など多数。