テレビ発言がネットニュースに

小室さんと眞子さまへのバッシング再燃で、帰国を前にして捉えられた小室さんの面構えを褒めた、のんきな私の情報番組での発言までがネットニュースになった。

こういう、自分の記事や発言がネット炎上すると、これまでも必ず自分の名前の検索サジェスチョン欄に面白いことが起きた。ネット民に「リベラル論者」とラベリングされる者が必ず受ける洗礼だ。名前に続いて「韓国」が入り、隣国との関係性や政治的距離感を調べられるのだ。そしてあまりめぼしいものがないとなると、今度は「東日本大震災」が調べられる。震災の時に何を発言していたかで、当人の左右が測れると彼らは思っているからである。

私は東日本大震災が起こった当時、家族とともにスイス在住で、直後にロンドンへの引っ越しを控えている状態だった。日本への一時帰国もかなわず、欧州のニュース番組やCNNで何度も繰り返される、崩壊する建築物や割れる大地、津波の映像や原発の事故映像を見て傷つき悲しみ、日本への郷愁と愛情を深め、再び立ち上がる日本の力を海の向こうから見て感嘆し、日本人としての確固としたアイデンティティをむしろ日々強めていたということを、ここに記しておく。

ネット上で活動や発言を検索した程度で、人を安易にカテゴライズし理解し片付けた気になるのは、知的態度とは言えない。でも、それが私が物書きとしてデビューし、その自由と多様性のために設計された成り立ちを愛し、20年以上執筆の主戦場としてきたネットが結局たどり着いた姿なのだ。私は20年のキャリアの末に、ネットに失望している。

「ネット民を説得してほしい」

「眞子さまご結婚肯定派」となってしまった私は、極端ではないが「右寄り」を自認するウェブメディアから取材を受けた。「眞子さまのご結婚に不安を感じているネット民を説得してほしい」という主旨だった。取材者は実のところとてもフェアな感覚で、記事の書き方も穏当だ。

「反対派は、皇室の品位が損なわれることが許せないのです」「だから不適格な相手との結婚を推し進めようとする眞子さまに不信感があるのですよね」という。皇室に対して思い入れのない私には理解のできない感覚だが、そんなに皇室を大事にし、皇族の幸せを本当に望むのなら、むしろ眞子さまのご結婚の意思を尊重し、その選択をより安全で安定して良いものにするべくみんなで考えることから始める方が良くないですか、と尋ねる。

「そうなんですけど、自分たちの国の皇室に対して、品格を保ち続けてほしいと思うからこそ、受け入れ難いようなのですよね」