「応接室の花は2万円の赤字」仮説を検証する

社内で応接室の花について議論したこともある。

花
写真=iStock/allensima
※写真はイメージです

花には月1万円のリース代を支払っている。

「なぜ花を置いているのだろうか」
「花があると心地いいからだろう」
「誰の心地よさがどのように会社のメリットとつながっているのだろうか」

などと考える。

すると、「採用面接で応接室を使うので、内定を出したときの受諾率が上がるかもしれない」といった仮説が出てきた。

「何%くらい上がると思う?」
「仮に1%上がるとすると、年間採用経費はいくらだ?」
「年間採用経費は1000万円。内定受諾率が1%上昇すれば、10万円分、効率化される」
「この花は年間10万円の価値を提供しているけれど、コストは月1万円だから年間12万円。ということは、2万円の赤字だ」
「では、他にこの花が役立っていることはないか」

と深掘りする。

答えが完全にわかることはなくても、一つひとつ仮説を立て、投資効果を検証する癖をつける。何も考えず、なんとなくやり続けるのが一番いけない。

雑巾と使い捨て掃除用ペーパー、どっちがコスト削減?

前述の同封物は注文連動費の削減につながり、花は運営費の削減につながった。

ABC(activity based costing)と運営費を同時に削減したのが次の例だ。

当社には週一回、社員の自主清掃の時間がある。最初は雑巾で掃除をしていた。自分の身の回り、共有部分を雑巾で拭く。これが「コスト削減委員会」の協議事項に上がった。「雑巾で掃除すると、掃除後の洗う時間、干す場所の家賃がかかり無駄ではないか。使い捨ての掃除用ペーパータオルのほうがコスト削減できるのではないか」

そこで両者を比較した。雑巾を使用した場合は、掃除後に洗う時間に対する人件費がかかる。その時間で利益に貢献する別の仕事ができるだろう。

洗った雑巾が乾くまで干しているスペースの家賃がかかる。これは社屋の面積に占める割合、月間家賃に占める時間から算出できた。もしその時間、そのスペースに雑巾がなければ、もっと利益に貢献できる使い方ができるかもしれない。

掃除用ペーパータオルは、一人が一回何枚使用するか、1か月では何枚使用するかでコストが計算できる。結局、後者のほうが安いとわかり、雑巾からペーパータオルに変えた。