「将来何をしたいのか」常に子どもに問いかける

お金持ちの最大の悩みは子どもの教育です。どんな大人になるのか、何をなしとげるか。そのために、どんなことを身に付けさせればいいかを考えています。それは単純にいい学校に通わせることではありません。

子どもの自主性も尊重しています。お金持ちの家庭では、「将来何をしたいか」、「どうなりたいのか」子どもに問いかけています。子どもが何に挑戦したいと考えているかを確認して、その芽を摘み取らないようにしているのです。

一般の家庭では、受験自体が目的になってしまうことが少なくありません。しかし、それは短期的なものでしかありません。いい学校に入学することが将来にどうつながるのか、長期的な目標を見極める必要があります。

わが家でも子どもたちには「将来何をしたいのか」問いかけるようにしています。わが家の娘たちはそれぞれ音楽の道に進むことを希望し、現在も進んでいます。社会人になっても音楽を続けているかどうかはわかりません。それでもいいのです。自分で決めたことであれば頑張れるはずですし、頑張って成果を出した経験は他の社会でも活きるはずです。

「お金が貯まる家庭」の貯蓄が加速していくわけ

最近は家計診断の役割も変わってきているように感じます。以前は、救急病院のような役割でした。出血を急いで止めるように、赤字家計を黒字に転換させるためのアドバイスをすることが多かったのです。

ところが、ここ20年ほどで無料の家計相談が増えました。赤字家計を何とかしたいと考えている人は無料サービスを利用する方が多いようで、当社への相談は少なくなりました。当社のような有料相談に来てくださる方には、一般よりも収入も高く、資産もある人が多くなりました

いまは病院というよりフィットネスクラブに近い感じになっています。健康な人が身体を鍛えてさらに健康になるために通ってくるようなイメージです。しっかり節約ができている人でも「まだ無駄遣いしているのではないか」と考えて、アドバイスを求めてくるのです。相談料を支払っても、それ以上の効果が得られるなら合理的だと考えているのでしょう。その結果、お金が貯まる家庭は、それがどんどん加速していきます。

子育てにしても貯蓄にしても短期的な損得よりも長期的視点で「何がいいか」を考えることが大事です。そうした考えや習慣を子どもたちに伝えることで、お金持ちがお金持ちを再生産しているのです。

藤川 太(ふじかわ・ふとし)
ファイナンシャルプランナー

生活デザイン代表取締役社長。自動車会社で燃料電池自動車の研究に携わった後、FPに転身。家計の個人相談の普及を目指して2001年に設立した「家計の見直し相談センター」では、すでに3万世帯を超える家計診断を行っている。家計管理、生命保険、資産運用など幅広い分野に精通。『やっぱりサラリーマンは2度破産する』など著書多数。 生活デザイン株式会社 オフィシャルサイト