多くの先進国で女性の大学卒業率が男性のそれを上回っています。それを受け、日本でも「夫より学歴が高い妻」が増加し、2割を超えました。拓殖大学准教授の佐藤一磨さんは「夫より学歴が高い妻の幸福度を調べたところ、他の学歴の組み合わせの中で最も幸福度が低かった」と指摘。その理由とは――。
チャペルで挙式する新郎新婦
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男女逆転劇

みなさんは『大奥』という漫画をご存じでしょうか。

よしながふみ先生の作品で、江戸時代の大奥を舞台としています。物語のポイントは、多くの男性が謎の疫病によって死んでしまったため、「男女の立場が逆転」している点です。

徳川家の将軍をはじめ、多くの男性の地位が女性によって担われています。男女の立場が逆転する中、大奥という特殊な環境を舞台に、政治や跡継ぎなどやや大人向けの話題が描かれていきます。ストーリーはどれも秀逸で、つい読みふけってしまいます。

さて、この物語は「男女の立場が逆転すると、どうなるのか」という疑問に対して、新たな視点を与えてくれます。ただ、これはあくまでも「漫画の中のお話」です。

現実の日本では、依然として男性の優位性が残っています。

年収や社会における指導的地位につく割合等、さまざまな面において男性の方が高く、男女間の平等が達成できているとは言い難い状況です。このような状況下では、男女の立場が逆転している例を頻繁に見かけることはありません。

しかし、世界に目を向ければ、『大奥』までとはいかないまでも、男女の立場が逆転した例が存在しています。

世界で進む高学歴者比率の男女逆転

図表1はOECD諸国における30歳以下の男女の大学卒業率を示しています。

OECD諸国の男女別の大学卒業率

図表1が示す事実は、「OECD諸国のほとんどの国において、女性の大学卒業率が男性よりも高い」というものです。

従来、大学へ進学し、卒業する割合は男性の方が高かったのですが、1990年代以降、女性の大学進学率が伸び、現在では多くの国で女性の大学卒業率の方が高くなっています。このような男女間の大学卒業率の逆転は歴史上初めてであり、多くの国で注目を集めています。