知らないと損をすることのオンパレード
しかし企業サイドからは、DC制度への移行に関するそうした本質的意図と、そこへの説明が圧倒的に不足したままです。そのため、運用に無関心、乃至は毛嫌いしている人たちは、元本を育てて増やすことに対する必要性を認識することなく、減らなければいいと預貯金や保険型を選択しているのだとすると、将来退職時に愕然とすることになるのです。
少なくとも、企業がDB時に予定利率としてコミットしていた以上の期待リターンを前提にした長期運用に参加しなければ、企業型DCに移行した意義は従業員の立場としては皆無になるわけです。
世知辛い世の中は、知らないと損することのオンパレードです。このコラムを読んだ皆さんは、企業型・イデコともに、確定拠出年金制度はちゃんと自らの将来を見据え、まっとうな長期運用を続けることが必然の「じぶん年金」であることを強く認識して、自ら考え強い意志を持って取り組んでください。
1963年生まれ。東京都出身。明治大学卒業。1987年、現在のクレディセゾンへ入社。セゾングループの金融子会社にて債券ポートフォリオを中心に資金運用業務に従事した後、投資顧問事業を立ち上げ、運用責任者としてグループ資金の運用のほか、外国籍投資信託をはじめとした海外契約資産等の運用アドバイスを手がける。その後、クレディセゾン インベストメント事業部長を経て、2006年にセゾン投信を設立。2023年6月に代表取締役を退任。セゾン文化財団理事。著書に『最新版 つみたてNISAはこの9本から選びなさい』(ダイヤモンド社)などがある。