知らないと損をすることのオンパレード

しかし企業サイドからは、DC制度への移行に関するそうした本質的意図と、そこへの説明が圧倒的に不足したままです。そのため、運用に無関心、乃至は毛嫌いしている人たちは、元本を育てて増やすことに対する必要性を認識することなく、減らなければいいと預貯金や保険型を選択しているのだとすると、将来退職時に愕然とすることになるのです。

少なくとも、企業がDB時に予定利率としてコミットしていた以上の期待リターンを前提にした長期運用に参加しなければ、企業型DCに移行した意義は従業員の立場としては皆無になるわけです。

世知辛い世の中は、知らないと損することのオンパレードです。このコラムを読んだ皆さんは、企業型・イデコともに、確定拠出年金制度はちゃんと自らの将来を見据え、まっとうな長期運用を続けることが必然の「じぶん年金」であることを強く認識して、自ら考え強い意志を持って取り組んでください。

中野 晴啓(なかの・はるひろ)
なかのアセット代表

1987年明治大学商学部卒業。セゾングループの金融子会社にて債券ポートフォリオを中心に資金運用業務に従事した後、2006年セゾン投信株式会社を設立。2007年4月代表取締役社長、2020年6月代表取締役会長CEOに就任。2023年6月セゾン投信を退任後、2023年9月1日なかのアセットマネジメントを設立。全国各地で講演やセミナーを行い、社会を元気にする活動とともに、積み立てによる資産形成を広く説き「つみたて王子」と呼ばれる。公益社団法人経済同友会幹事ほか、投資信託協会副会長、金融審議会市場ワーキング・グループ委員等を歴任。著書に『最新版 つみたてNISAはこの9本から選びなさい』(ダイヤモンド社)、『50歳からの新NISA活用法』(PHPビジネス新書)他多数。