トランプという劇薬を使い続けるか否か
2020年のアメリカ大統領選挙は、完全にトランプ氏の“独り相撲”でした。「融和のバイデンか、分断のトランプか」よりも「トランプか、反トランプか」ばかりに注目が集まり、最終的にバイデン氏が勝利したのも、アメリカ国民が「バイデン氏を選んだから」というよりも「トランプ氏を選ばなかったから」という印象を強く受けました。
つまり多くのアメリカ人にとって、今回の選挙はトランプという「劇薬」を今後も使い続けるか否かを迫られる選挙であり、決してバイデン氏や民主党を積極的に肯定する選挙ではなかったということです。しかもバイデン氏は中道穏健派でインパクトに乏しく、同党のサンダース氏のように熱狂的なファンに支持されているわけでもありません(この人も大統領候補でしたが、急進左派で無党派層に受けが悪いため、民主党は「消去法」でバイデン支持に傾きました)。しかもバイデン氏、最終的にトランプ氏に勝ちはしたものの決して圧勝ではなく、票数はかなり拮抗(8000万票と7400万票)しました。
存在感の薄いバイデン氏が、トランプ氏の敵失で辛勝――この事実は、アメリカがまだ「分断が是か非か」を決められてないことを意味します。そんななか、「融和」に舵を切るバイデン氏。おそらくメディアは味方してくれるでしょうが、有権者はかなり冷めた目で、今後の動向を見守ることになるでしょう。しかもサンダース氏とのしこりも残ったままなので、急進左派への気遣いも必要です。これはヘタに舵を切り損ねたら、2024年には再びトランプ氏が大統領ということも、十分考えられます。
では、そんなバイデン氏とは、果たしてどんな人物なのでしょうか。