LGBTについて「古い考え方の人」にショック

【島本さん】私は5番目の「ジェンダー平等」に関心があります。大学の先輩にゲイの人がいるんですよ。その人は自分のジェンダーを割とポップに捉えているけど、SNSを見ると悩んでいる人も少なくないみたい。周囲の人に受け入れてもらえないとか、色々な問題があるようなんです。

【原田】島本さんがSNSで見たのはどんなケースだったのかな。

【島本さん】ツイッターで「化粧品売場でリップを見てたら、店員さんに『つけてみますか?』って言われてうれしかった」っていう男性のツイートがあったんです。そうしたら「男なのにリップを勧められるなんてどんな見た目なんだよ」みたいな、茶化すような返信をつけた人がいて。そんな古い考え方の人もいるんだな、何で受け入れられないんだろうって色々考えさせられました。

【加藤くん】僕も身近にバイセクシャルの子が数人いるので、LGBTの話題には興味があります。そういう人たちに対していまだに抵抗感がある人も多いみたいだから、早く解決しなきゃなって思います。

SDGsを自分事として考えられるかどうか

【原田】LGBTの問題って、君たちにとってはそんなに身近なんだね。それに、知っているってことは本人がオープンにしているんだよね。それってごく当たり前のことなの?

【加藤くん】オープンにしている人、結構多いですよ。ただ、言いたがらない人も一部いるだろうなとは思います。

【遠山くん】身近にLGBTの人がいるのは、今はもう珍しくないんじゃないかな。僕の周りにもいますよ。

【富山くん】そうだと思う。僕の身近にもいます。

【原田】そうなんだね。僕が高校生の時なんて、少し女性的だったりする男子は周りからすごくイジられていたよ。オープンになんてとてもできる雰囲気じゃなかった。今も完全に寛容な雰囲気になったわけじゃないんだろうけど、その頃に比べれば大分いい社会になってきているんだね。

今の大学生たちは、SDGsについてはある程度は知識を持っているようです。大学で専門的に学んだ子もいれば、授業や企業説明会などで耳にしただけという子もいました。しかし、意外なことに「耳にしただけ」の子も、友達や先輩が当事者だったり積極的に活動したりしていると、急速に関心を深めるようです。特に人種やLGBT、消費にまつわる問題は、すでにごく身近なものになっている様子がうかがえました。

SDGs関連の分野を専攻していない一般的な若者にとって、関心を持てるかどうかは「自分ごととして考えられるかどうか」にかかっているのではないでしょうか。こうした傾向は、商品選びなどの消費行動や、就活における企業選びにどう関わってくるのか。次回以降はその点を探っていきたいと思います。

構成=辻村洋子 写真=iStock.com

原田 曜平(はらだ・ようへい)
マーケティングアナリスト、芝浦工業大学教授

1977年東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーを経て、現在はマーケティングアナリスト。2022年より芝浦工業大学教授に就任。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。主な著作に『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』(幻冬舎新書)、『パリピ経済 パーティーピープルが経済を動かす』(新潮新書)、『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』(光文社新書)、『寡欲都市TOKYO』(角川新書)、『Z世代に学ぶ超バズテク図鑑』(PHP研究所)などがある。