4.つみたてNISAとどう向き合うべきか

一方つみたてNISAは、投資初心者に役立つ仕組みです。

積立てできる上限金額も年間40万円なので、預貯金など金融資産全体からすると、つみたてNISAの総額が占める割合は限定的でしょう。個人的には、投資上限が抑えられていることが初心者に功を奏し、結果として投資を続けられるのではないかと期待しています。

2018年1月にスタートした制度で、その頃から始めてもわずか3年目の暴落に驚いたかもしれませんが、20年程度先を見据えた投資ならまだ入口付近です。むしろ、序盤の暴落で安くなった期間を買い進めていったのち、上昇に転じれば投資効率が高まる可能性を秘めています。

長期で上昇するポートフォリオの考え方

ただ、上昇を期待するためには、積立てを続ける商品の精査が重要です。初心者にとっての理想は、下落は限定的で長期でみて上昇する確率が高いものです。例えば、日本株のみを投資対象とする投資信託を積立てているなど、1カ国への集中投資で資産分散が効かない状態になっていると、暴落後の戻りが鈍い可能性も考えられます。

初心者には少しハードルが高いかもしれませんが、先進国株式や全世界株式のように、政策や状況の違うさまざまな国を投資対象とする投資信託の戻りに期待する積立ても、長期的な視点でみたときの有力候補として検討してみてください。

暴落時は、資産の中身を見直すチャンスでもあるのです。つみたてNISAの場合、年間非課税枠の未使用額を確認したうえで可能であれば積立て商品を追加したり、変更することで、積立て効果の時間分散とともに資産分散を図ることができます。

継続するには、確認や精査が必要ですが、投資は、一旦やめてしまうと上昇局面を捉えるのは至難の業です。だから生まれたのが“積立て”といって良いほど、ムリのない金額で行う積立ては、忙しい日常に馴染みやすいものです。やはり、積立ての基本は“継続”です。

マーケット環境が不安定なとき、近視眼的にみると不安だけが募ります。でも、少し前、マーケットの最大の関心事は、米中貿易協議だったはずです。

実際のマーケットには、いくつものテーマが存在し、各国の思惑とそれを推進したり、けん制するための金融政策、財政政策などが複雑に絡み合っています。

今後、実体経済に与える業績面のダメージを精査することや、そもそも今年のマーケットに下落基調を見込むなど、2020年が大きな転換点となる可能性は否定できませんが、長期で向き合う投資判断では、極端に突出したテーマにみえる新型コロナウイルスだけに目を奪われない“冷静さ”が必要なのかもしれません。

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野尻 美江子(のじり・みえこ)
ファイナンシャル・プランナー

書店勤務を経てFPに。新聞、雑誌、各種サイトへの執筆やラジオ出演などを通じて“自分のお金と向き合うきっかけづくり”を提案中。