ビジネスパーソンの間で人気が定着しているセブ島留学。野北さゆりさんはセブ島で短期語学留学をしたいという日本人と、セブ島の語学学校をつなぐ留学エージェントの代表として、セブ島を拠点に働いている。もともとは一人娘の教育移住のためにやってきたが、今は老後も暮らしたいというほどセブ島が自分に合っているという野北さん。常夏のセブ島で暮らすこと、働くことについて語ってもらった。

3.11をきっかけに海外暮らしが選択肢に

娘と二人でセブ島に移住したのは2012年のこと。娘が9歳のときです。もともと英語環境で子どもを育てたいと思っていたところに、東日本大震災が起こり、いろいろな情報が錯綜しましたよね。国が白と言ったら、白となって、何が正しいのか、よくわからなくなった。私としては「あれ、日本ってこんな国だっけ?」と不信感が募るばかり。わいてくる疑念はおさまらず、そのうち海外に行くのもありかなと思い始めたんです。

そうして、マレーシアのペナン島やクアラルンプール、ジョホールバル、シンガポール……、知り合いを頼って、アジアを視察し、最終的に、ここフィリピンのセブ島にたどりついたのです。

気候も人もあたたかいセブ島

セブ島の何がよかったかというと、いちばんは人があたたかいことですね。気候があたたかいから、人が陽気で穏やか。他の外国に比べると治安がよくて、人から奪って何かをしようという人たちじゃない。ここなら娘と二人でも安心して暮らしていけるかなと思ったんです。

また英語の通じ度合いが、他のアジアとは全然違います。さすが世界3位の英語公用国だけに、発音はきれいだし、日本人特有のアクセントもくみ取ってくれるので、とにかくコミュニケーションしやすい。これは私が働くにも、子どもが教育を受けるにも大きなメリットでした。

さらに働き始めていいなと思ったのは、男尊女卑が少ないということ。世界各国の男女平等の度合いを示す2018年版「ジェンダー・ギャップ指数」でも、日本が110位なのに対して、フィリピンはアジア勢トップの8位。管理職や専門職に占める女性比率が高いんですね。男性があまり働かないということもあるんですが……(笑)、ともかく男女差別が少ないことは、働く女性にとってはいい環境です。