最近ますます耳にするようになった“ESG投資”。私たちはどのように関わることができるのでしょうか。

社会に優しい「ESG投資」入門

投資判断といえば、まず重視されるのは企業が稼ぎ出す利益や資産などの財務情報。しかし昨今、財務諸表だけでは測りきれない「企業価値」に着目した投資のスタイルが、資産運用の常道になりつつある。

環境(Environment、環境問題への取り組み)、社会(Social、労働環境や人権問題などへの対応)、企業統治(Governance、経営の健全性や透明性など)――企業が長期的、持続的に成長するためにはこの3つの観点が欠かせないという考え方から、急速に拡大しているのが「ESG投資」だ。世界中の機関投資家、大手の投資会社や運用会社がこぞって、環境・社会・企業統治に配慮した企業経営を評価するESG投資に乗り出し、今や世界の運用資産の30%以上を集めているのだ。なぜこんなに盛り上がってきたのか。“ESGの伝道師”の異名を持つ、ニューラルCEOの夫馬賢治さんは説明する。

「一言で言えば危機感です。企業経営において環境だったり、社員や働き方の多様性だったり、途上国の人々との接し方だったり、ESGに配慮しなければ大きな経営リスクになることが強く認識されるようになった。投資家も『ここが、投資先の企業が生き残れるかどうかの分かれ道』という感覚があるので、ESGで経営リスクを見る動きが広がった。今や資産運用の常識は大きく変わり、ESG投資をやっていないほうが非常識という時代に突入しています」